計測器の日常点検と記録
(H20年3月2
週号)

「T氏の質問」
貴社のHPのISO9001項目別分類コーナーの7.6で「計測器の始業点検チェックシート:H17年2月2週号」の最後に、作業者のモラル低下を生むため、チェックシートは廃止した、との記載がありますが、日常点検(使用前点検)は必要かと思います。
記録に残す、残さないの論議はあるかと思いますが、半年周期での定期校正で、仮に異常があった場合(例えばゼロ調整ができない)、このノギスで測定した半年間の測定値の有効性はどのように考えればよいのでしょうか。
少なからず日常点検をしていれば、いつ異常が発生し、このノギスで測定した製品をどのように処置したのか、などすぐに対応できるのではないかと思います(確かに異常がない場合には、面倒な記録になるかとは思いますが・・・)

「私のコメント」
この記事は、「無意味な記録作業」をやめたということであって、始業点検をやめたという意味ではありません。
点検」はマイクロメーターの例ですと、「ゼロあわせ」「スムーズな回転」「汚れのないこと」などを始業時にチェックすることです。
これは、作業者は毎日やるので、身についていますから、一挙に「点検」します。問題は「身についたこと」を1行、1行、チェックシートに書くことに意味があるかです。後でまとめて書くことが想像できます。それでは始業点検はチェックシートを書くために行うことになり、精度維持の目的意識が低下するというモラル低下を起こすマイナス効果が考えられるということを問題にしているわけです。
「点検」で異常が出たらチェックシートに書くのでなく、すぐに上司に紙でなく「口頭」で連絡することのほうが重要です。
上司との迅速なコミュニケーションが必要です。
あるいは、上司が、始業時に部下が点検をしているかをチェックシートでなく、目で見ること、あるいは会話することが重要です。そこに現場のマネジメントの原点があると思います。
一方、「点検」と違い、「校正」は、国家標準とトレースが可能な「原器」で目盛り精度を正しく修正することです。「点検」などの目視では正確にできないのが一般的です。
「点検」で異常がなくても「校正」で異常があるかもしれません。
ですから、「点検」だけで「校正」の異常は正確には予知出来ません。
問題は、「校正間隔」の問題です。これは計測器の使用頻度、精度などにより、ある会社では1年間隔、別の会社では3年間隔でも、「校正」しても狂っているケースが皆無に近いということもあります。もっとも頻度の高い校正として毎日やることもありますが、それも1日8時間という「校正間隔」があります。
「校正」で異常を発見した場合、基本的には、その「校正間隔」期間内の測定結果をさかのぼってやり直しとなります。あるいは、次工程で異常を発見したり、顧客のクレームで発見したりとなることもありえるでしょう。これは「間隔」をおいてチェックしている本質的な問題点です。
もし、その頻度が高いようでしたら、「校正間隔」を短くすることになります。しかし、あまり必要以上に「校正間隔」を短くするとムダなコストが発生します。
その点を配慮して決めるべきでしょう。