「T氏の質問」
維持審査で審査員が、工場の現場作業者に品質目標についてインタビューをして、次の指摘がありました。
「審査員の指摘」 「会社の品質方針、品質目標については、それぞれの『個別実行計画』書に従い管理されていましたが、『品質目標の達成に向けて自らどの様に貢献できるかを認識することを確実にする』との内容については、個人目標が「個別実行計画」「業績レビュー&自己申告表」等の中に於いて明確になっているとは言えません。個人目標の展開については、改善の余地があります。」
「T氏の質問」
会社の方針・目標を全従業員に理解させることは当然であり、それなりに実施しております。方針・目標の実行については、上記の「個別実行計画」に担当者名とスケジュールを明確にして管理するようになっておりますが、現場作業者レベルに会社方針・目標にリンクして個人目標を立てさせるようなことはしておりません。
現場作業者レベルではサークル活動などでの会社方針への協力ということはあるにしても、個人目標にまでするということには疑問があるのですが、いかがでしょうか。
「私のコメント」
まだ、こんなTQC的な指摘があるのですね。
ISO9001:2000の5.4.1には品質目標は「それぞれの部門及び階層」で設定されることとあります。この文章から明らかなように、全従業員の個人目標は強制されていません。
「それぞれの部門」という「それぞれ」は誤訳で英語は「関連する部門」です。だから、経理部門などは含まれません(このHPのISO9001項目別分類の5の「全部門の品質目標を規格は要求しているか?:H17年3月4週号」参照)。TQCと違います。
ただ、6.2.2のd)に「品質目標の達成に向けて自らどのように貢献できるかを認識できるかを確実にする」とありますので、自分が属する部門の品質目標を理解している必要があるという意味解釈できるでしょう。
この6.2.2の要求で、全従業員に対して個人目標を持つべきだという理屈はISO9001:2000のシステムでは成り立たないことになります。
このTQCの方法を否定したようなISO9001:2000の改訂は、94年版で経理部門まで無理に目標を設定したり、品質はシステムで決るのに、現場の従業員の個人目標を形式的に設定したりした過去のやり方の批判から来ています。
審査員の指摘は「改善」でなく、形式化した目標を押し付ける「改悪」となります。
なお、私は、5.4.1の「品質目標」、6.2.2の「品質目標」、7.1のa)の「品質目標の3つの「品質目標」は業種によって異なる場合があると思っています。 |