N社・不適合ゼロでISO9002を取得(H12年12月4週号)
1.N社のトラブル
 30人くらいの板金メーカーのN社より、S機関の本審査で、不適合ゼロで認証の内示があったとの連絡があった。この企業も、管理規定ゼロ、QC工程表ゼロ、品質保証体系図ゼロ、文書番号ゼロ、配付台帳ゼロ、マニュアルの頁ごとの改訂履歴ゼロで認証となった。
 N社は、最初、工程設計に設計管理を適用したので、T機関にした。その後、S機関を訪問したとき、審査部長が「設計は、広い概念である。」ということを言ったので念を押して、申請した。予備審査でもこれは、問題にならなかった。ところが、書類審査で別な硬い審査員が、工程設計では、ISO9001は認定できないと言い出し、審査部長が説得できず、立場上、問題となった。審査部長と審査員は、N社まで、来て調整を始めた。この場合の妥協方法は、大抵、どこも、同じである。それは、何か、1つでも工場で製図をしていると、それが製品設計だとして、マニュアルに取り入れ、ISO9001を認めるのである。それは製品設計でなく、清書にすぎないのであるが。
 N社より先にISO9001で取得した、板金メーカーのF社は、最初、コンサルタントが台車の図面を書いていたのを製品設計として扱い、ISO9001のシステムを構築していたが、会社側では、意味が分からなかった。何故なら、これは、顧客のスケッチ図を清書していただけであるからだ。私は、工程設計を設計管理に適用し、T審査機関で審査を受けるようにし、ISO9001で1998年に認証を得た。
 N社は、このF社のコンサルタントと同じように、審査部長と審査員が、何か製品図を書いていないかと現場に来て探し、それがあれば、本審査は、それが不十分でもISO9001とすることで妥協案が出た。
2.N社よりの相談
 その結論で、N社から相談があった。これがF社のように、1998年頃なら、ISO9001の意味があったが、2001年になろうとしているので、もう、すぐ、ISO9002はなくなる。今更、ごまかしで意味の分からないISO9001でシステムを構築しても無駄である。ISO9002にして、審査を受けるべきだと言った。そして、堂々と、「4.4 設計管理」を「4.4 工程設計管理」と修正し、「これは当社が顧客の満足向上のために、自主的に適用する。」と追記するように助言した。「4.9 工程管理」には、「最初のロットは、稼動の管理が安定していないので、『4.4 工程設計管理』で扱う」と明記した。板金の新しい部品の加工では、最初のロット加工では、NCプログラムの試作、ベンダー曲げの型の選択、工程順の変更など、試行錯誤がある。これらのデータをきちんと管理しないと、第2ロット以降の管理がおろそかになるからである。改善システムをとりこんだのである。2000年改訂の「継続的改善」の先取りである。
3.2000年改訂との関係
 N社は、94年版での認証なので、3年以内に、2000年版に合わせて改訂が必要である。改訂版では、「工程設計に設計管理を適用してもよい」とあるので、すでに改訂版の先取りをしたようなものである。審査部長は、「2000年版からは、部品メーカーでは、設計管理はなくなる。」と最初、言っていたが、「7.1 参考2」で「適用できる」と明記されたことを伝えると「2000年版の先取りをした。」と逆に評価されたという。すなわち、改訂が楽である。無理に図面の清書を設計管理とする無駄を防止でき、2000年の「品質保証から品質管理」に向けて顧客の満足を向上するように、改訂ができることになる。ごまかしで、会社の神経となるISO9000を構築すべきではない。無駄である。