製品実現化プロセスと製造及びサービス提供プロセスの混同(H13年3月2週号)
1.製品実現化という用語の登場
 94年版の「4.2.3 品質計画」のf)に「製品実現化の適当な段階における適切な検証を明確にする」というものがあり、当時、「製品実現化」の意味が分からないという質問が多かった。要するに製造業だと、製造工程のどのポイントに検査を置いたらよいかということを明確にすることである。「品質計画書」や「工程表」での検査工程の明記である。
2.2000年版と製品実現化
 2000年版では、製品実現化がメイン用語として登場し、同時にその意味も変わった。顧客の要求の明確化から始まり、設計・開発、購買、製造及びサービスと拡大した。しかし、問題なのは、94年版の意味の製品実現化と2000年版の意味の製品実現化が混在していることである。広い意味の製品実現化を「製品実現化A」と、狭い意味の製品実現化(「7.5 製造及びサービス提供」に該当する)を「製品実現化B」と明確にして、ISO9001:2000本文を見よう。
3.「7.1 製品実現の計画」
 ここの「製品実現のために必要なプロセス」は、「製品実現化A」のほうである。「新製品開発計画書」のようなものになる。この時点では、工程内容は決まらない。d)の「製品実現のプロセス」は「製品実現化B」のほうである。この「参考2」の「製品実現のプロセス」は、「製品実現化B」のほうである。製造工程内容の設計(工程設計のことだからである)。
4.「7.4.1 購買プロセス」
 ここにある「その後の製品実現プロセス」は「製品実現化B」のほうである。
5.「7.5.3 識別及びトレーサビリティ」
 「製品実現の全過程」とは、94年版の「受入から、製造、引渡し及び据付けの全段階」と同じであるから「製品実現化B」である。
6.「8.2.4 製品の監視及び測定」
 「個別製品の実現の計画」は、「7.1」により「製品実現化A」である。
 「製品実現の適切な段階」は、94年版と同じく「製品実現化B」である。
 ここで問題なのは「個別製品の実現の計画で決めたことが問題なく完了するまでは、製品のリリースができない。」という文章である。「製品実現化B」だと94年版の「品質計画書及び/又は手順書に規定しているすべての活動を問題なく完了しーーー」と同じになるが、「製品実現化A」だと顧客の要求確認から、設計・開発、購買とチェックが広がる。ほとんど意味がない。混同のため一貫していない。企業側は、但し書きで対応することになろう。
 以上の「製品実現化B」とした個所は「製造及びサービス提供段階とかプロセス」としたほうが明快である。
7.3つの品質計画
 2000年改訂では、品質計画は、システムレベルと個別の製品実現化と2つになった。個別の製品実現化を計画したものが品質計画書である。ところが、この品質計画書がまた2種類になる。一つは、顧客の要求確認、設計・開発、購買を含むもの、一つは、製造及びサービス提供だけのものである。後者は工程設計で決まる。工程設計の扱いの弱い点がこういうところで表れている。