内部処理の意味(H13年3月3週号)
1. 保存の従来の継続部分
 ISQ9001:2000の「7.5.5 製品の保存」で「内部処理」という言葉が登場するが、これは、従来の保存の意味である。保存は英語のPreservationの訳で独特の意味がある。「保存」をISO9000−2:1997年版(これは、ISO参加メンバーの75%以上の賛成を得て確定したもの)にあるように、医療機器の滅菌処理保存、半導体の無塵・静電防止処理保存、食品の温度・湿度制御などをいう。これを理解している人は、「内部処理」は、これらの保存処理を組織の管理下で行うことと素直に理解できる。
 今回、2000年版の「内部処理」の英語について、念のため、IRCAのインストラクターにメールで聞いたら、上と同じ返事であった。同時に、イギリスのISO9001関係者に聞いたら、同じ解釈であった。以前、94年版が、発行されたとき、別のIRCAのインストラクターに聞いたら、同じような説明があった。英語に弱い日本人には、「聞くのは一時の恥じ、聞かぬは、末代までの恥じ」である。英語では、ISO9000−2:1997のPreservationの解説は常識であるようだ。
2.保存の意味の拡大
 2000年は、保存の範囲を「内部処理」より追加し、「識別、取扱い、包装、保管及び保護」を含めるという。だから、内部処理の意味が分からないと、この追加した範囲の意味もまた分からないことになる。
3.JISの参考
 内部処理については、JIS独自の参考があり「内部処理とは、組織が運営管理している製品実現のプロセスにおける活動をいう。」という説明がある。広すぎて意味不明である。この「処理」は作業的な意味であるから、顧客の要求の明確化、設計・開発、購買、製造及びサービスという「製品実現のプロセス」のうち、製造及びサービス以外は意味がない。
 94年版では、「保存」(preservation)の英語問題から、英語に弱い日本独自の3つの異なった「保存」の解釈が発生した。後に、ISO9000−2:1997年版が明確に示したのに不勉強である。これが未だに尾を引いている。
4.内部処理の例
「内部処理」がある企業例は少ない。私が現在まで、直接関係した企業では、食品を除くと、自動車部品メーカーと工業用ミシンメーカーの2社で、いずれも防錆油の塗布であった。したがって、油の特性、塗布量、塗布方法を手順書化し、これにより「保存」要求の審査をパスした。審査機関は、1社は、日本系の最大手、もう1社は外資系で、「保存」の意味を正確に解釈していた。「出荷待ちの完成品を未完成品と区別する手順書がない。」という間違った指摘はゼロであった。