| T社は、約20人の製造業である。本審査で不適合ではないが、観察事項として次の指摘があった。
「外部文書を複数保有しています。将来、他部門からの利用もあることを想定し、紛失を防ぐ手立てを考える必要がないかを検討されることをお奨めします。」
この文章だけでは、なにを言っているのかわからない。よく見かける審査員型日本文である。
審査員と話した企業側の人に聞くと、具体的には「紛失防止を目的に外部文書管理台帳を作ると良い。」という意味であった。
この企業は、小さい事務所に社長をはじめ各部門長、事務員がいる。事務所の外の現場には、外部文書は持っていかない。他部門と言っても、部門長は社長を含めて5名で書類を見るときは自分の机のある事務所で見る。小企業だから、製造部門長(組立と機械加工の2名)と言ってもほとんど現場で作業をしている。
事務所の机で仕事をしている社長(営業部門長兼任)と設計部門長(部下はいない)と、総務部門長(部下は女子1名)である。外部文書の管理責任は設計部門長にあり、この事務室の書棚の一部で十分管理されて保管されている。
企業側は「ISOマネジメントシステムには外部文書管理台帳作成の要求は無い。台帳作成はムダな書類増の発想につながる」としてこの観察事項は受け入れなかった。
審査員の頭には、「外部文書の管理=外部文書管理台帳の作成」というワンパターンがあったのであろう。
かって、ISO9001:2008が発行された時の規格研修会で、聴講していた企業人が「外部台帳管理は必要ですか」と講師に聞いたら、講師が「そうです。必要です」と答えたという。
質問する方にも問題があるが、この講師は「それは貴社で自社の特徴を知って自主的選択すべき問題です。それが規格の趣旨です。したがって、規格は個別企業の具体的なことまでを要求していません」と答えるべきである。
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