60点のISO9001?(H13.7月3週号)
「日経コンストション」誌が4月にISO9000s特集をしたとき、建設各社の取材の結果、良い審査機関を選択するとき、次の5つの選択基準をあげている。これは、審査機関の顧客満足度の調査にもなる。
1. 「60点で良い」という発言には要注意
 ある審査員が「とりあえず、60点でいいですよ。」言ったという。このときは危険である。何故なら、ISO9001:2000は細かい要求まで入れると230項目はある。これを満足しないと品質マネジメントが世界水準の規格通りであるという審査にならない。60点程度で良いという規格はISO9001:2000規格に無い。230のどれが適当にやっていればいいのか問題である。したがって、230項目とは別な審査レベルとなり、それは、審査員のアドリブ審査となる。規格本文無視なので、かえって、ISO9001:2000で要求していない無駄なシステムを押し付けられる原因にもなる。
 94年版のときであるが、ある「60点主義」の審査員が「4.15.3 保管」で審査に来た企業に在庫台帳が無いことを指摘した。ISO9000sには、入・出庫の承認要求はあるが在庫管理要求は無い(だから、アメリカの自動車業界のQS9000ではISO9000sでは不満で、在庫回転率向上の追加要求がある)。
 審査員はアドリブだから本文をよく読んでいない。企業側はきちんとshallで勉強していたので反論した。そこで、審査員は気がついたという。この審査員は、数年間、多くの会社を在庫台帳がないと不適合で指摘してきたという。アドリブ審査の弊害の典型例である。在庫ゼロの高度の管理レベルの工場では、在庫台帳はゼロである。
2. 高度のシステムは実は非効率なシステム
 「60点で認証した会社」「100点で認証した会社」があるとなると、国際規格や認証制度は自滅することになる。この背景には、ISO9001:2000は最低限の規格で、ISO9004はISO9001よりも高度なシステムということになる。例えば、ISO9004にベンチマーキングの使用がある。同業他社で優秀な会社のやり方を参考にして改善する方法である。
 例えば、トヨタ生産方式が良いということでこれを参考にするということである。しかし、他人のシステムの真似をするとき成功例と失敗例もある。高度のシステムとは、多くの人の意見を消化して自分の身の丈にあったシステムを、知恵を出して作ったシンプルなシステムである。いろいろな手法をきらびやかに飾ったシステムではない。それは、きらびやかであるが知恵のない低いレベルのシステムである。
 私は、他社を見学に行くときに、タイミングがあると助言する。ある程度、自分でやってみてそれなりに成果を出してから、他社に行くと参考になるが、何もしないで、見学に行くと参考にならない。見る目ができていないからである。
3. 高度のコンサルティング
 高度のコンサルティングは、効率的で簡素なシステムを助言し、企業が消化できるシステムを構築できるものである。いろいろな他社の成功例を例示して、きらびやかなシステムを押し付ける方法はレベルの低いコンサルティングである。
4. PDCAサイクルとレベルアップ
 PDCAサイクルが回っていないのが低レベルである。クレーム隠しをしていた大手企業あったが、品質管理の勉強は沢山していたし、システムの形は立派であった。しかし、PDCAが回っていなかった。レベルは最低ということになる。