あるサーベイランスシーン (H13.7月4週号)
1. A社のサーベイランス
20名足らずの小企業であるA社はすでにサーベイランスは2回終わった。
初回のサーベイランスの前に、管理責任者が定年で退職したので、代わりに外部から採用した人が対応したがうまく対応ができなかったようである。しかし、初回のサーベイランスには、本審査の主任審査員が来たので、連続性があるはずであったが、本審査で指摘されるべきことがサーベイランスで指摘された。
例えば、A社は製品が設計があるが、そのような受注は年間1件程度である。したがって、本審査で審査対象となった設計は1件だけであった。そして、半年後のサーベイランスのときも半年間で新規の設計受注がなかった。だから、本審査のときの設計記録がまたチェックされた。本来、チェックは必要がないはずである。サーベイランスで指摘されたのは、設計検証であった。設計検証には、ISO9001:1994では、「設計検証の手段は記録すること」という要求がある。その手段の記録がないという指摘である。
しかし、A社は「設計検証チェックシート」という手段によって、チェックして記録を残している。要するに、この主任審査員は「手段」の意味が理解できなかったので、本審査のときに見逃し、サーベイランスのときに指摘したのである。是正処置は「図面の目視による」ということになったそうである。私は、この「目視」を聞いて、大笑いしてしまった。「手段」を全く主任審査員が理解していない。これは参考10に別計算によるとか列挙してあることである。
A社の「設計検証チェックシート」は、設計のチェック項目を5つに分け、これをガイドにインプットとアウトプットのチェックを行うようになっている。ISO9001:1994の「4.4.7 設計検証」の参考10の「類似の過去の証明された設計」の応用である。ISO9001:2000では「4.3.2 設計のインプット」のc)以前の類似した設計から得られた情報の利用が手段である。
また、他の指摘事項でマニュアルをよく読むとマニュアルに書いてあるのに書いてないと指摘していた。逆に、マニュアルに書いていないことを実際にやっていないと指摘していた。管理責任者はなれないので、おどおどして対応しために、不適合にされ、それがかえって審査員の「力量」を露呈するという皮肉な結果となった。
2. B社のサーベイランス
20人くらいのB社は初回のサーベイランスを迎えた。何か準備することはあるかという質問を受けたので、特別な準備は不要であると助言した。改善専門でない審査員の助言は、中小企業ではコストアップとなるアイデアしか出ないからである。そして、ISO9001要求の審査だけを要求し、他の助言は不要であることを本審査同様、明確にすべきだと言った。
しかし、最初、連絡のあったサーベイランスの審査員は、本審査の審査員ではなかった。しかもその連絡のあった審査員は他の企業でひどい審査をしたので交替させられた人であった。私は、替えてもらうようにB社に助言した。交替した審査員がサーベイランスに来た。B社の管理責任者は、しっかりした姿勢の人だったので、助言は不要であることを明確に言った。サーベイランスは半日で終わり、不適合はゼロであった。