文書の定期レビュー? (H13.8月1週号)
1. 読者よりのEメール
私(西沢)は日刊工業新聞社の月刊誌「工場管理」に毎号、ISO9001:2000の解説を書いている。8月号でISO9001:2000の「4.2.3 b」の「文書をレビューする」という要求は、文書を一斉に定期的にレビューすることを意味しないし、レビュー自体もマネジメント・サイクルと関係しないと意味が無いと書いた。
これに対し、読者からメールが来た。その読者が属している企業では、まだ草案段階から2000年改訂に取り組み、この「文書をレビューする」という要求に対して、ある審査機関から指導を受け、毎年1回文書管理責任者がレビューすると、文書管理規定に定めたということであった。
2. イギリスからの回答
実は、この8月号の原稿を書く前に、イギリスの主任審査員に念押しでメールをした。一々イギリスに聞くのは、英語の誤解による混乱を避けるためである。94年版における誤解の代表例に、"保存"がある。英語圏の人に聞けば簡単に済むことを聞かないから、いろいろ誤解して"もめた"。英語に弱い日本的な無駄な現象である。
レビューも関する私の質問に対しイギリスからの回答は、「文書の定期レビューなど英文に無い。趣旨は、発行してから文書の使用者が『間違いだらけの文書を使わせるな。』と怒らないように、内容が適切かをレビューすることを強調しているだけである。」であった。
彼はメールの最後で「分かりきったことを聞くなよ。」と冗談交じりに皮肉を言っていた。
3. 作業標準書の年2回レビューのナンセンス
ISO9000以前から、日本では「作業標準書」を作ることが盛んであった。これは、現場管理の文書の代表的なものである。しかし、折角「作業標準書」を作っても、放置され見ていないために、実際と異なることがあった。そこで、せめて年2回くらいは、現場長が「作業標準書」を見て、実状と合っているかをチェックすべきであるという考えが発生し、それを実行している企業がかなりあった。先の読者の年1回レビューというのも、この習慣からヒントを得たものであろう。
私は当時、この「作業標準書」の年2回チェックを見て、奇異に感じた。何故なら現場長は、毎日毎時、部下の仕事を見ているのである。そしてその仕事は「作業標準書」に書いてあるのである。「作業標準書」をレビューするということは、現場のマネジメントの中心である。何故、その毎日、行うべき現場マネジメント・サイクルが年2回なのか。その間現場長は何をやっているのか。
日常の現場管理の欠落を公認したようなものである。こういうマネジメントセンスの工場は現場管理不在で、不良が多いことは容易に分かる。
トヨタは、作業標準書の管理は、現場管理者の日常の管理であるとしている。当然である。