文書の定期レビュー一般化か? (H13.9月2週号)
1. ある品質マニュアル
友人が20人くらいの建設業者の2000年対応マニュアルを参考に送ってきた。ざっと、見て気がついたのは、例の文書の定期レビューである(4.2.3 b)の要求)。
マニュアルには、「年2回の内部監査のときに、管理責任者が行う。」と書いてあった。またかと思った。どうやら、2000年の改訂では、この定期レビューが流行しそうである。ISO9001:2000には「定期的に」の要求は無いのに.......。
問題なのは、仕方なく(no choice)、ただ、マニュアルに書いていることである。
2. 文書レビューの5W2H
このマニュアルでは5W2Hがない。したがって文章通り実行できないであろう。
(1)What:一体、年2回レビューする文書は、どういう文書があるのか。図面も当然含まれるが、これも全部、管理責任者が年2回レビューするのか。意味があるのか。
(2)Why:一体、年2回レビューするのは、どういう目的なのか、どういう効果を期待しているのか。分かっているのか。
(3)Who:レビューするのは管理責任者としているが、あらゆる文書をレビューできる能力があるのか。
(4)When:どんな文書も年2回のレビューでいいのか。
(5)Where:どこでレビューするのか。現場でレビューが必要なものもあろう。
(6)How:どういう方法で行うのか。作業標準書は、実際の作業と比較するのか。図面はまた、別計算で検図するのか。そうなると年2回で終わるのか。
(7)How much:どのくらいの文書量があり、それを全部レビューするには、何時間かかるかを見積もったのか。年2回、それぞれ1日程度ですむのか。
上記を文書化しないと"文書化した手順"にならないであろう。しかし、上記のように5W2Hの質問をすると、年2回、管理責任者が行うというのはごまかしであることはすぐに分かる。しかし、審査員も「文書のレビュー」の意味がわからないから、年2回というような文章がマニュアルにあればOKとするであろう。それで、めでたしとなりそうである。
3. "レビュー"の意味
レビューは94年版で審査であった。英語になってしまった。このカタカナ英語は、コミュニケーションのように日常の日本語となっていない。用語定義をみると「設定された目標を達成するための検討対象の適切性、妥当性、及び有効性を判定するために行われる活動。」とある。
文書のレビューの場合、検討対象が文書である。ある文書には設定された目標(目的のほうが分かりやすい)がある。その目的に対して、その文書が適切であり、妥当であり、有効性があると判定するのが文書のレビューということになる。そうなると、ある文書に設定された目的をはっきりさせるのが第1ステップである。第2ステップは、その文書の内容が、その目的に対して、適切性、妥当性、及び有効性を持っているかをどのように判定するかである。
4. 作業標準書のレビュー例
(1)作業標準書の設定目的
作業者が正しい作業を行うためである。
(2)適切性、妥当性、有効性の判定
作業者がこの標準書を見て、正しい作業を行っているかである。これを年2回の内部品質監査のとき、管理責任者が行うとすると、現場で観察しなくてはならない。1日ですべての作業はしていない。したがって、全部の作業標準書は1日や2日ではレビューできない。作業標準書のレビューは、むしろ、「7.5.1 製造及びサービス提供の管理」や「8.2.3 プロセスの監視及び測定」で、現場管理者が日常レビューすべき文書である。
5. 誤解の原因 
このような「定期的な文書のレビュー」の誤解は、2000年改訂の検討段階での変化にあるようだ。2000年版はISO14001との整合性をとるというのが、大きな改訂の課題であった。ISO14001には文書を定期的(periodically)にレビューするように明記されている。だから、ISO9001:2000の検討段階でも、草案のCD1ではISO14001のそのままが、取り入れられ、文書を定期的(periodically)にレビューするように明記されている。私は、おかしな要求だなと思っていたので、どうなるか興味があった。
ところが、その後のCD2では「定期的レビューは消滅」している。環境マネジメントと品質マネジメントの違いもあるのである。ISO9001:2000の説明でもその消滅の変化の強調も無かった。しかし、無批判で受け取っている人は、問題意識がないから、この変化を読み取れないで、正式なISO9001:2000になっても「定期的」ということにこだわっているのであろう。