| ある中堅の病院で、他の病院の事故から学んで予防しようということになった。 |
| あるとき、他の病院で点滴事故があった。早速、スタッフは点滴のマニュアルを改訂した。1、2ヵ月後、ある病棟でその改訂について看護婦に質問したら、誰も知らない。調べたら、婦長の書類棚の隅に置いてあった。婦長が配付された文書をちょっと置いたまま、多忙にまぎれ放置されたものであろう。これをISO9001:2000の「4.2.3 文書管理」の観点から見ると、下記のように文書システム(情報システム)ができていないことが分かる。 |
| 下記はISO9001:2000の4.2.3のa)〜d)に基づいたチェックである。 |
| a)文書承認要求にたいしてマニュアルに承認印がなかった。不適合。 |
| b)文書の実行のレビューシステムがなく、スタッフも婦長もフォローしていなかった。不適合。 |
| c)現在版の識別要求に対して、識別がなかった。不適合。 |
| d)該当する文書の適切な版が、必要なときに、必要なところで使用可能な状態にあることを確実にするという要求に対し、使用者である看護婦が使用できる状態でなかった。スタッフは文書を改訂し、配付しただけで満足し、「使用可能な状態にあることを確実にする」システムに関心がなかった。不適合。旧版も回収または廃棄されていなかった。 |
| ISO9001:2000の文書管理要求は、使用者の行動と情報システムとの統合管理システム要求である。他の病院の事故により病院のマニュアルを変更したまではよかったが、それが看護婦の行動まで伝達され、行動の変化までシステムが一貫していなかったなら、他の病院の事故に学んだことにならない。同じ事故の発生確率は高い。顧客である患者は安心できない。このような病院にはISO9001:2000システムを導入すると効果的である。 |
| 8月に日経ビジネス誌に「開かれた病院」という記事があり、全国の病院にアンケートをとったが、その中で10くらいの病院がISO9000を取得していたという。これらの病院は、当然、文書管理をパスしているから、上記のような問題はないであろう。 |
| しかし、先輩の製造業でも、作業標準をかかげても、現場管理がないと誰も見ていない。品質向上に役立たないという「レビュー」結果になるかもしれない。背景にマネジメントシステムの理解がないと文書の増大ばかりで効果がないのは病院も同じであろう。 |