| 1.原因と結果に基本的関係 |
| キズ不良というのは、表面に出たある製品Aの現象不良で、これがある製品は「キズなきこと」という品質規格を満たさない、すなわち、「不適合な製品」である。 |
| 次に原因を追求して、原因を見出したとしよう。例えば、ある条件が重なると、包装方法がキズの原因になったとする。包装工程が原因である。包装方法は、発生した「不適合製品」の原因である。クッション材の追加などの改善をして、この原因を除去し、製品Aが再度、「キズ」がある「不適合製品」になることを予防するのが、是正処置(再発予防)である。これは、単純に言えば原因と結果の関係を把握し、原因をつぶし、同じ結果を引き起こさないことである。 |
| 2.工程原因と是正処置と予防処置の基本的関係 |
| ところで、作業になるといろいろな製品を扱う。だから、製品BもCも包装する。だから、製品Aの不適合発生で、原因が包装工程となると、製品Bのキズの「起こり得る不適合」が予測できる。したがって、例えば、製品Bでも厚みは異なるが、クッション材を追加するという予防処置となる。 |
| このようにある不適合品の原因が他の不適合製品の原因と結びついていることが多い。だから、ある是正処置から他の製品の予防処置に効果的につながり、顧客満足になるのである。このコツを日本では、「水平展開」「横展開」と称してきており、是正処置にリンクした予防処置が効果を発揮し、日本の製品品質向上の大きな要因の1つとなっていた。 |
| 3.是正処置と予防処置のリンク無視 |
| ところがISO9001では94年版で予防処置が登場してからこの「水平展開」「横展開」が弱い。2000年版も同様である。すなわち、是正処置と予防処置のリンクが弱い。そのため、あまり現場の改善経験がない審査員は、この是正処置とリンクした予防処置は、是正処置に過ぎないという人がいる。その理由は、原因が共通しているからである。すなわち、原因と結果とを混同している。 |
| 製品レベルの不適合と工程レベルの原因とを混同している。しかし、「起こり得る不適合品B」の発生予防になっているのは、事実である。用語定義通り、予防である。さすがに、ISO本部ではISO9000?2:1997の「4.14.1」で「同じ原因及び状態が予防処置に関係することがある。この場合は一定の型又は傾向が現れて、不適合が起こる可能性を示すことがあるので、調査すべきである。」と「水平展開」「横展開」のことを述べている。 |
| 自動車部品の規格であるQS9000(ISO/TS16949)は、「水平展開」「横展開」の日本方式がISO9001:1994ではあいまいなので、「4.14.2.2 Corrective action impact」という項目を追加している。これは「水平展開」「横展開」のことである。残念ながら、これは予防処置のほうに含めていない。ISO9004:2000では、この混乱を避けるためか、予防処置という言葉を使っていない。「損失予防」である。どういう経路からで原因をつぶそうと損失予防(実害がない)になればそれが予防処置なのである。 |
| 4.混同による弊害 |
| 「水平展開」「横展開」による改善は予防処置でなく、これは是正処置だとすると、予防処置が抽象化して、「水平展開」「横展開」による改善が激減する。すなわち、是正処置は、製品Aの対策に終わり、製品Bなどの改善はシステム化しない。「水平展開」「横展開」の効果的な伝統は消滅する。一方、予防処置は、「陰陽師」のようなヒラメキのレベルになる。 |
| このように是正処置と予防処置を厳密に、独立したものとして区分するというのは、原因除去という観点からするとあまり重要ではない。密接にリンクさせ、常に改善するという柔軟なシステムの確立のほうが品質を向上させ、顧客満足を得るために重要である。 |