主任審査員の変更 (H13年11月2週号)
1.書類審査の指摘
A社の書類審査はL機関のK主任審査員によって行われた。不適合指摘はなかったが、下記のように5つのインプルーブメント(不適合に転化するおそれがあるもの)を指摘した。予備審査のとき、K審査員はテニオハ型審査員ではないかと思われたが、それが書類審査で的中した。なお、これは94年版による審査である。
(1)「4.3 契約内容の確認」で、『要求事項は適切に定められ、文書化されていること』という要求があるが、その文書が示されていない。
「A社のコメント」:
マニュアルには「顧客の注文書、図面によって」と明記してある。
(2)「4.4.5の設計のアウトプット」にあるa)〜c)の文章がない。
「A社コメント」:
ISO9001の文章をそのまま、書けというshallがない。これと同じ表現は別にある。アウトプットはすべてこの要求を満足しているのは、すでに予備審査でサンプルにより審査員は確認している。
(3)外注で最終検査して、そのまま、顧客に納入されることは許されない。
「A社コメント」:
この場合、問題になった専門外注は、顧客に近いので、輸送の効率のためにそうしているのであって、審査員の言うようにするには、一旦当社に品物を納入しなくてはならない。ISO9001を取得してかえって無駄なコストが上がるという代表例となる。
この場合、A社では、外注の管理レベル、技術レベルを審査し、合格した外注に適用している。さらに外注の出荷検査責任者を個人登録し、この捺印で、当社に出荷報告をさせている。過去、検査ミスはない。最終検査をアウトソーシングできないというshallはない。
(4)検査後の品物に合格の識別の手順がない。さらに検査前と後の品物の識別手順がない。ISO9001本文で「全過程」とあるのは、検査作業の前後を意味する。
「A社コメント」:
ISO9001本文には「適合又は不適合を示す適切な手段によって識別すること。」とあり、「又は」であって、「及び」ではない。「全過程」とは、製造、据付け、付帯サービスの全過程における検査(受入検査、工程内検査、最終検査、据付け検査、サービス検査)を意味する。検査前後の識別の要求はshallにない。特に、当社は据付け、付帯サービスがなく、検査は最終検査だけであり、かつ、これは流れ作業になっている。レイアウト的に検査前後の品物は混入しない。予備審査でK審査員は現場視察しているので簡単に分かることである。
(5)マニュアルに「顧客に受け入れられた特別採用」とあるが、これは「受け入れられた不適合」を意味するだけで、「修理された特別採用」がもれている。
「A社コメント」:
ISO9001本文に「修理して、又は修理しないで特別採用とする。」とあるように、特別採用とは、修理するものとしないものとの総称名である。「人間(特別採用)は男と女を含む」が、K審査員は「人間は男だけを意味するから、女がもれている。」というのに等しい。
2.クレームと審査員交替
 上記の5つの指摘は、審査員は帰り間際に文書提出したので反論の余裕がなかった。したがって、A社は、L機関のマネージャーにクレームを提出した。マネージャーは、この5項目すべての間違いを認め、K審査員が注意された。注意されたK審査員は、A社の管理責任者に電話し、検査前の識別は再度、本審査のときに現場で確認したいなど、間違いの真の意味が分かっていない反応を示したので、A社はK審査員の交替を要求した。結局、審査員は交替となった。
 審査員はバラツキがあるのでその良否は別として、このような処置を迅速、正確にとる点がL審査機関のよいところである。