2000年版の品質マニュアルは3頁でよい?(H14年新年1週号)
1.品質マニュアルの内容の要求
 品質マニュアルについては、4.2.2で、a)適用範囲、b)6つの手順書、c)品質マネジメントシステムの相互関係の記述という3つの要求がある。英語ではaquality manual that includeと中身を「制約するinclude」があり、その次にこのa)−c)の3つの要求が並んでいるので、3つさえ記述してあれば、マニュアルとして十分だという意味になる。
 そうなると、a)の適用範囲は、多くても数行程度の内容ですむ。b)の6つの手順書は「又はそれを参照できる情報」とあるから、「詳細は、○○管理規定による。」として参照形式(引用)とすれば、品質マニュアルには含めないこともできる。c)の品質マネジメントプロセスの相互関係は、図1枚でも表現可能である。そうなると、品質マニュアルに最低含まれる情報は極めて少なくなり、最低、3頁くらいとなる。これでは、企業の品質マネジメントシステムの概要を知るというマニュアルの意味がなくなる。
 94年版では、「4.2.1 一般」で「この規格の要求をカバーする品質マニュアルを作成すること。」とある。すなわち、94年版では、品質マニュアルにISO9000規格の要求(138のshall)を全部記述する要求が明確であった。
3.2000年版の原文の問題
 当然、品質マニュアルはISO9001:2000の要求を全部カバーするのが常識であるという考えが一方である。そうなると、英語は a quality manual,including でなければならない。Includingの前にコンマが入る。このような「付属追加的なincluding」の英語表現は、94年版では、例えば、「4.1.2.2経営資源」次のようなものがある。
 The supplier shall identify resource requirements and provide adequate resources, including the assignment of trained personnel----
 これを日本語では、「―――訓練された要員など、必要な経営資源を明確にし、それを提供するこ。」と訳している。しかし、英語ではこれは「, including」としてコンマがあり、訓練された要員は付属的な表現である。正確には「経営資源を明らかにすること。その中に訓練された要員を含むこと。」の訳のほうが正確である。だから、これを誤解して、要員の訓練を重点的に表現したマニュアルが多かった。むしろ、機械・設備中心の装置工業などは機械・設備や技術ノウハウを先に持って来るべきである。同様に、a quality manual, including となると、「常識的な内容の品質マニュアルを作り、その中身には次の3つを追加で含ませること。」になる。
4.常識的な品質マニュアルとは
 ISO9000:2000の「3.7.4 品質マニュアル」の用語定義によると「組織の品質マネジメントシステムを規定する文書。」とある。ISO9001:2000の「4.1 一般要求事項」に「組織は、品質マネジメントシステムを確立し、文書化し」とあり、「5.4.2 品質マネジメントシステムの計画」a)には品質マネジメントシステムの策定の要求がある。企業が品質マネジメントシステムをISO9001:2000にそって策定したなら、品質マニュアルはISO9001:2000の要求をカバーする内容となる。この解釈が実用的に無理がない。すなわち、管理規定ゼロとしても品質マニュアルは最低で数十頁になろう。ISO9001:2000の4.2.2の英語は正確な表現でないので、修正が必要であろう。