「最新版」から「現在の改訂版」へ (H14年1月5週号)
 A社は、私の指導先の中で94年版による本審査を受けた最後の会社となった。先週本審査を終わり認証を得た。
文書管理では、すでに2000年改訂を先取りし、「4.5 文書及びデータの管理」の「最新版」をマニュアルで「現在の改訂版」と定義した。もともと、この「最新版」の英語はcurrent revisionである。2000年版も英語のほうは変わらないが、訳は英語に忠実に「現在の改訂版」と正常になった。ところがA社に来たS主任審査員は、12月の文書審査でJISZ9901:1994の「最新版」とは、現在の改訂版でなく、あくまで最新の版のことであると強調した。こういう主任審査員がまだいる。
「最新版」だと、設計が生産よりかなり早く先行して図面を改訂して、発行してしまう場合に問題である。例えば、実際に設計で発行した最新版を使うのは1ヶ月後とすると、現在使う版ではない。もし間違って最新版で生産したら、顧客が満足しない。クレームとなる。
品質面から重要なのは、現在顧客に出荷するための図面の版管理であり、最新版の図面の管理ではない。これは生産指示と関連してくる。顧客への品質保証を目的とするISO9000の文書管理の趣旨からして、これは常識である。だから、もともと「最新版」は訳が正確でないのである。しかしこの常識がないと文字面にこだわり、趣旨をまったく間違えた審査となり、意味のない議論になり弊害を起こす。
実際に審査の場では、常識のある審査員は英語のまま「現在の改訂版」と理解し、「最新版」は無視して運用していた。しかし、中にはこのA社に来たS主任審査員のような不毛の議論をする例がある。しかも、2000年版で「現在の改訂版」と改善されてから1年になるというのに、この状態である。94年版を引き継いで最新版としているところは、自社の用語定義で「最新版とは、現在の改訂版をいう。」とすることになる。