| 「7.3.3 設計・開発からのアウトプット」の下記の文中に「様式」という訳語がある。 |
| 「設計・開発からのアウトプットは、設計・開発へのインプットと対比した検証ができるような『様式』で提示されること。」 |
| 私は、日刊工業新聞社の月刊誌「工場管理」で毎月、ISO9001:2000のQ&Aを連載しているが、3ヶ月ほど前にこの「様式」の解釈について、読者の質問に対して答えた。ところが先週、A社に文書審査に来た審査員が、まさに、この訳を誤解して指摘していた。審査員の誤解を「工場管理」で先取りした感じであった。 |
| A社ではソフト設計をしている。アウトプットはフローチャートとプログラム・コーデングシートである。製造業であれば、図面の数字、記号、三角法による形状表示を意味するが、ソフトなのでフローチャートもプログラムも言語表現である。したがって、「様式」では具体性に欠くので94年版を参考にして、品質マニュアルに「様式」を使わず「『用語』による表現」にした。ところが審査員は「ISO9001:2000の要求は、『様式』であって、『用語』でない。」と不適合ではないが、改善事項として指摘した。何か帳票様式をイメージしているようであった。審査員も2000年版になれていないと、実力が出てしまう例である。 |
| 「様式」は英語では in a form that である。Formは、直訳すると「様式」であるが、これは「帳票様式」「書式」というように誤解されやすい。formは簡単な英語だから、オックスフォード辞典を引き合いに出すまでもない。旺文社の「シニア英和辞典」を見ると、11の意味がある多義語である。どれを選択するかは、図面を思い浮かべれば、簡単なことである。5番目の「書式」のことでなく、2番目の「表現形式」のことを意味する。例文は、a piece of music in the form of the sonata「ソナタ形式の曲」である。 |
| 図面であれば、形状は「三角法」の表現形式による。したがって、訳語は「様式」よりも「表現形式」としたほうが誤解されないだろう。94年版は expressed in terms of であり、訳が「用語で表現される」である。要求していることは2000年も同じだが、94年版のほうが「表現」とあるので和訳も分かりやすかった。なお、設計・開発の"文書化した手順"の要求は2000年版ではなくなったので、こういうテニオハ的な文書審査は無意味である。 |