アウトソーシングと購買の関係・その2(H14年5月2週号)

ある企業で、道路設計だけ外注に出していた。購買製品は設計図や報告書である。業者評価をし、受入検査をし、継続評価も行っている。専門業者であるから、一々、業者先に行って図面や報告書を納品前に検証する必要はない。したがって、7.4.3の「供給先での検証」を除外とした。

予備審査に来た審査員は、道路公団では供給先での検証を求めているケースがあるので、現在ないからといって除外するのは問題だとし、将来、顧客が要求するようなケースも考え除外を考えるべきだと指摘した。そこで、会社側は将来を考えたら、すべて除外ができなくなるし、そういう除外に関するshallはなく、現在の状態があいまいなシステムになるとしてこの指摘を受入れなかった。

その反論に対ししつこい審査員はいろいろ調べたのか、顧客が契約時に特記事項で指示されることがあるのではないか、例えば、道路設計でも外注業者(測量業者)の測量中の追加横断とか、丈量関係の検証を実施していないかときた。そして「当日、現地インタビューをしてもらう。」ということであった。この現地インタビューも問題である。

ISO9001:2000要求事項の審査でなく、製品要求事項の審査となり、土木工事の検査員資格が必要である。ISO9001:2000では「0.1序文」に「この規格が規定する品質マネジメントシステムの要求事項は、製品に対する要求事項を『補完』するものである」としており、とってかわるものではないと注意している。ISO9001:2000の審査員が、計測器を持って図面通りの製品ができているかを検査しているようなもので、その資格はない。また、審査員のいう測量作業の検証は、図面や報告書などの「購買製品の検証」でないので、7.4.3の検証とかけ離れている。

英語はpurchased product であり、このproduct はISO9000:2000の「3.4.2」に用語定義があり、「プロセスの結果。」とある。参考にはハード、ソフト、サービスを含む広範囲の意味を持つことを具体例で示している。これは、ISO9001:2000の時からではなく、最初の1987年版時代からISO8402には同じ定義があり、さらにISO9001:1994では、本文の定義にまで登場している。定義に変更はない。

審査員はその見当はずれに薄々気がついたのか、今度は「4.1」のアウトソースを持ち出してきた。そして「品質保証の観点から重要なプロセスが直接の管理下になくてもなんらかの管轄権を持つことが求められています。」と反論をしてきた。しかし、ISO9001:2000では「要求事項に対する製品の適合性に影響を与えるプロセスをアウトソースすることを組織が決めた場合には、組織はアウトソースしたプロセスに関して管理を確実にすること。」とある。

審査員が言うような「品質保証の観点から重要なプロセス」などという限定はない。重要だと言えばすべて重要である。また、審査員は管轄権という新語を創出し、アウトソースの管理を供給先に行き、仕事をしている途中の管理をすることととらえているようだ。しかし、ISO9001:2000は「管理を確実にする。」だけである。そこには、いろいろな方法があってよいのである。ISO9001:2000の序文「0.1 一般」に「組織における品質マネジメントシステムの設計及び実現は、変化するニーズ、固有の目標、提供する製品、・・・によって影響を受ける。」とあり、「品質マネジメントシステムの構造の均一化又は文書の画一化が、この規格の意図ではない。」と明記している。

ISO9001:2000の「アウトソースしたプロセスの管理について、組織の品質マネジメントシステムの中で明確にすること。」とあるので、この会社では、「7.4 購買」で明らかにすると明記している。そして、選定基準、管理方式(受入検査の実施)、再評価基準を定めている。これがこの企業の「管理を確実にする。」ことである。

アウトソースの問題は、予想した通り、過剰反応の問題を起こしやすい。