監査とコンサルの関係が問題化(H14年7月2週号)

  1. エンロンの危機
      6月22日の夜9時からのNHKスペシャルは「エンロン破たん・アメリカがおかしくなっている:繁栄の裏のぎまんの数々」であった。エンロンの監査法人は米大手会計事務所名門アンダーセン社であるがコンサルもしており、監査とコンサルの兼務を禁じる法律の検討に対して、エンロンのコンサル売上げ2億ドルを失わないため、議員への献金で対応して問題になっていた。
     その後、エンロンの会計のぎまんが明らかになり、アンダーセン社に有罪評決が下り、監査業務停止となった。透明性で信頼あるアメリカ市場が今、危機に陥っていることをこの特集は警告していた。その後、ワールドコムなどの不正会計が続出し、市場の信頼を失い、日米の株は大きく値を下げ、世界経済に大きな影を落とし出した。

  2. ISO適合性評価委員会(CASCO)よりの警告
       ISOビジネスで、その権威を損なう審査員や審査機関の行為に対し、昨年末、CASCOの会議でISO事務局長 Eicher博士(氏は今年3月心臓病で急逝。63才)が一部の不誠実な審査機関のために、ISOが危機に瀕しているとして、各国の認定機関や審査機関に取締りを強化してほしいと要請している(「ISOマネジメントシステム」誌3・4月号・ISO本部発行)。会議では3つの問題が存在することが報告され、その1つに審査とコンサルの兼務があげられている。

  3. 関係者の反応
      このISO事務局長の危機感に対する世界のISO関係者の意見が同誌のデベート欄に一部掲載されている。その中の審査とコンサルティングの兼務が関係する部分を抜粋する。

    (1)インドのNiranjan氏:経営層の公約の欠如」
      「現在の悪習・不正の原因の1つに認証の提供とコンサルティングを兼務している機関がある。私はこの事実をインドと中東で見た。」

    (2)米国・コンサル会社社長:一部の不心得者がすべてをぶちこわす。
       「16年間、審査に立ち会ってきたが、往々にして審査員がコンサルを行い、要求事項を自己流に作り上げ、ろくに記録も見ないで、早く帰るというずさんな審査をするのを見てきた。彼らの意見は文書で報告されるが、意味がわからないことが多い。」(氏の意見は長いので、全文翻訳して臨時号に掲載)

    (3)Ron Kreb氏・カナダ:誰も責任をとらない。
       「コンサルと審査の兼務も問題がある。」

    (4)Terry Peterson氏・英国:審査機関にも疑わしい行為がある
       「多くの審査機関が訓練、助言、導入計画などのコンサル業務を提供している。エンロンの崩壊で明らかなように、監査とそれ以外のビジネスとは、法的に明確に分離すべきである。」