TN審査員のこと (H14年7月3週号)

  1. A社での審査
       M機関のTN審査員は、このホームページの14年4月1週号に「M審査機関の審査・初体験」(「審査/コンサル経験談」コーナーに収容)に登場した人で、そのときに立ち会った私の知人がその号でTN審査員の行動をレポートしている。ここに再引用する。

       事前の予測どおりひどい審査員でした。アドバイスは出来ないことになっていると言いつつ、ひたすら主観的レコメンドの嵐でした。審査の質問にA社担当が答えようとすると、声を出すいとまもなく、私見や次の質問を矢継ぎ早に出す始末で、ほとんどインタビューになっていませんでした。
       基本的な審査手順の原則を全く無視したものでした。A社側は、終始毅然とshallの根拠を問いただす姿勢を貫き踏ん張っていましたが、どこのshallですかと聞いても、『shallはともかく、規格要求を満たしていない』という始末でした。自分の思い通りの答えが返ってこないもので、『審査をしているのは、われわれだ。認証がほしくないなら、自己宣言すればよかろう。気に入らなければ、言い分の通る審査機関に変えればいいだろう。』と激高する場面もありました。」
    M審査機関にクレームをつけ、改善した経過は、同じコーナーの14年4月4週号にある。

  2. コンサルタントA氏からの連絡
       この記事を見た知人のコンサルタントA氏からメールが入り、彼の指導先のB社が2000年改訂の際、S審査機関からM審査機関に替え、更新審査を受けるので、もし、TN審査員が来るなら交替を要求したい、だから、オフレコで名前を教えてくれと連絡が入った。別に隠すこともない事実なので、A社の名前とともに連絡した。
    しかし、M機関の対応が悪く、もたもたしているうちに、B社へずばり、TN審査員が審査に行く旨、連絡があった。一方、偶然、A社とB社は同じ業種で付き合いがあった。連絡を取り合った。A社の管理責任者は、会社がしっかりしていれば、どんな審査員でも心配することはないとB社に助言した。

       コンサルタントA氏はB審査機関の審査員交替の対応の悪さにクレームをつけ、当日、立会って、問題な行動があれば、クレームをつけるとした。審査機関から詫びとA氏の立会いを了解するとの連絡が来た。 かくして、私のホームページに偶然にもTN審査員が再登場することになった。

  3. TN審査員の審査結果連絡
       B社の審査が終わり、A氏から大方、次のようにTN審査員についての連絡が入った。
    「午前中の審査をおわり、現場に移動中にTN審査員が『最近A社を審査したが、私の評価はどうであったでしょうか』とB社に聞いていました。また『私は誠心誠意やったつもりでしたが、見解の相違でご意見が合わないこともありました』とも言っていました。 審査内容は、ISO審査よりは製品要求レベルの質問が多く、私からマネジメント審査に関係ないでしょうと言いたくなることもありました。また、自慢話が多くコンサル的な話も何点かありました。なお、もう一人の審査員のK氏は初対面でしたが審査はきわめて妥当であると感じました。」

  4. T審査員、TN審査員と標準的な審査員の比較
    6月の新着ニュースのT審査員と、このTN審査員は下表のように似ている。

    審査員タイプ
    比較項目
    TN審査員
    T審査員
    標準的な審査員
    頭にあるシステム
    画一的な文書システム。 画一的でない。
    質問の開始
    画一的な文書名から入る。 Shallから入る。
    審査の基本パターン
    画一的文書システムの存在の確認。自問自答となりやすい。審査員は画一システムの説得に時間をかける。 企業独自システムの理解。審査員は聞き上手、会社側は話し上手。
    ISO9001規格の解釈
    テニオハにこだわるので、本質的なことを誤解していることが多い。 本質を理解しているので、細部にこだわらない。
    審査とコンサルの区別
    あいまいでコンサル的発言が多い。 コンサル的発言は自制。
    画一的文書システムを企業が拒否の場合
    感情的に恫喝する。 感情的に禅問答をする。 そういう問題は発生しない。
    製品審査との区別
    画一的な規格がある製品監査を好むので、余計な製品審査をする。 マネジメントシステム審査に徹する。
    審査発想
    天動説型(自己中心)、製品検査型、絶対型 地動説型、マネジメントシステム審査型、相対型
    代替案発想
    代替案発想が理解できない。 代替案発想が基本。

    TN審査員やT審査員の言うままになると、過剰な文書システムとなり、企業側はコストアップに苦しむことになる。それが、ISO9000の審査システムの信頼性を悪化させる。 セドン氏は「品質を追求して:こんなISO9000はいらない」(初版:和訳無し)の最後を次のように締めくくっている。
    「では、最後に貴方が良い審査員を選ぶことを期待する。そして、何よりも、オスカー・ワイルドの次の言葉を思い出す。『愚かなことほど、罪なことはない』。」