- ISO9001:2000の検査記録要求内容
ISO9001:2000の「8.2.4製品の監視及び測定」に「合否判定基準への適合の証拠を保管すること」とあり、その証拠の具体的な内容までの詳細な要求はない。ただ、その直後に「その記録には、製品のリリースを正式に許可した人を明記すること。」とあるので許可者名は、記録に必ず含まれる要求である。
ISO9000-1:1994の「ISO9000ファミリーは、満足すべき品質システム目標の用語で書かれている。これらの国際規格は、その目標をどのような方法で達成するかは述べていない。それは、各企業の選択にまかせられている。」により、上記以外の検査記録の具体的な方法は、企業の選択となる。
- 記録項目の代替案
そこで、企業側が考える代替案が下記の例のように存在する。◎印は記録必須項目。〇印が検査記録紙に記載される項目。△印は指示文書から転記した項目。
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代替案
記録項目 |
A
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B
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C
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D
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E
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F
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作業指示書や現品票にある記録項目
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◎
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品番 |
〇△
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〇△
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〇△
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〇△
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〇
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〇
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◎
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品名 |
〇△
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〇△
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〇△
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〇△
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〇
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〇
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◎
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ロット数 |
〇△
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〇△
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〇△
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〇△
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〇
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〇
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ロット番号 |
〇△
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発生記録
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◎
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検査年月日 |
〇
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〇
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〇
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〇
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〇
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〇
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測定データ |
〇
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〇
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〇
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◎
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合否 |
〇
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〇
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〇
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〇
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〇
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〇
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◎
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検査員名 |
〇
|
〇
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〇
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〇
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〇
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〇
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◎
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リリース許可者名 |
〇
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検査員兼任
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検査指示書にある記録項目
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使用計測器番号 |
〇△
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| 有効期限 |
〇△
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| 抜取り数 |
〇△
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〇△
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〇△
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| 検査項目 |
〇△
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〇△
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〇
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〇
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〇
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| 判定基準 |
〇△
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〇△
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〇
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〇
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〇
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評 価
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転記のムダと転記ミス大。 |
図面にデータ記入。 |
図面チェックのみ。 |
転記なし。
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いずれの案も、ISO9000要求を満たしている。ロット番号の記録は、品物にトレーサビリティの識別要求がある場合だけである。一般的ではない。また、中小企業の場合、検査員が「製品のリリースを正式に許可した人」を兼ねることが多いので、その場合、リリース許可者の記録欄は別に作る必要がない。
よく見かけるのは、B案であるが、ISO9001要求を満たし、一番、コストが少ない代替案はF案である。審査員が「Bでなければならない。」と言ったら、それは個人的な画一文書システムの要求となる。転記の多いA案は、高度のシステムでなく、実は、真の品質を理解できず、意味のない記録を無駄な手間をかけて残している知恵の低い方法である。
- 転記の無駄
製造業では検査項目と判定基準は図面、抜取り数は抜取り表、測定機器は選択表などの検査指示文書がある。これらを記録項目とすると検査員はこれらの検査指示文書から転記することになる。転記を避けるため、図面のコピーにデータを記録する方法(C案)がある。データを書かず、検査指示書にある検査項目へのチェックマークだけならD、E案である。
さらに、検査すべき品番、品名、数量は作業指示票、現品票などで示されているので、ここからの転記になる。これがAからD案である。この無駄を無くすには、作業指示票や現品票を検査記録として用いる方法がある。これが代替案Eで、検査してからでないと書けない「発生記録」のみを検査員が記録する。生産管理が確立しているとこのような転記のないシステムを容易に確立できる。
- データ記入の必要性
測定値(データ)の記録廃止には下記の理由で社内で抵抗があることがある。
(1)数字まで書いていると管理的に安心できる。
(2)クレームがあるとき、過去の数字を追いかけることができる。
(3)データで改善の手がかりになる。
しかし、(1)については、管理者は数字を書いてあることに安心して、管理を放棄しやすい。偽データの原因になる。(2)については、皆、公差に入っているという数字なので、後で追いかけても意味がない。本当に原因を知りたいなら、多くのデータ記録がないと対応できない。中途半端な保険である。(3)について言えば、本当に品質向上ためのデータなら、合格データでなく、改善目標を持ち、改善のための要因に関するデータを多くとらないと使えない。
こうして、ムダを嫌う小企業では、最終的に品質向上面でも、効率面でもE、F案が理想案として検討される。
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