タイヤ不法投棄にISOが関係(H14年9月4週号)

9月13日に栃木のある中堅の会社に朝着いたら、社長が地方紙の「下野新聞」を提示した。見ると栃木に大手のタイヤ工場の従業員が、タイヤを自宅付近に不法投棄したという記事が大きく載っていた。
原因は、その大手の会社がISO14001を取得し、そのため設定した環境目標を達成するためであったという。すなわち、管理者がその目標達成に熱心で廃棄物の処理記録を改ざんするため、自宅に庭のある従業員がタイヤを持ち帰り、処分したためという。また、書類のごまかしである。中央紙には出ていなかった。
環境目標達成という手段のために、環境改善というISO14001の大きな目的を忘れた結果となった。形だけ合わせ、本質は無視という典型で、この企業は、モラル低下を起こしている。

別の中小企業に行ったら、その納入先の大手部品メーカーでは、大手の組立メーカーに納入している部品が市場でトラブり、来週、組立メーカーが査察に入るという。そのため、数百枚のデータを改ざんしているのをその中小企業の人が目撃したという。もちろん、この大手部品メーカーは、ISO9001を取得している。しかし、モラル低下を起こしている。

このモラル低下は雪印問題、食品偽装問題、カルテ改ざん、原子力発電偽報告など大企業に共通しているものがある。

私は7年前に、産能大出版から、「黒船を迎えた製造現場」という本を出したが、ISOマネジメントシステムという現場にどかどか踏み込んでくる「黒船」に対して、現場がごまかしで対応する危険性を警告した。しかし、その後、ISO9001の「黒船」に審査機関の官庁指導型で対応した多くの文書過剰企業は、ごまかしが日常化していて内部告発の意味がないほどに常識化しているようだ。むしろ、文書過剰を喜ぶ品質保証担当者が増大している。これが下請にまた無駄な文書作成を押し付ける日本的な構造となっている。東電もGEだから内部告発があったが、日本系の下請で告発を使用ものなら、商売を失うという。

1年程前の「日経コンストラクション」の調査でも、建設業での記録は改ざんされているというアンケート回答は7割近くであった(左の「審査/コンサル経験談」コーナーの「7割近くが書類の改ざんを示唆」平成13年6月1週号参照)。

中国の20倍の賃金である日本が、ごまかし書類作成に精をだしている姿は、かっては、品質で世界を制覇した日本の製造現場からは想像できない。「黒船」に対抗できなかったようだ。
この不景気に、日本の産業界はイギリスのISO9000同様に「つじつま合わせの書類の商人に乗っ取られる。」のであろうか。

トヨタ生産方式は、まず「悪いニュースを先に言う:Bad news first」を最初徹底的に教えるという。品質向上には不可欠な体質である。