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N社は、L審査機関に申請した。そうしたら、見積り担当者が会社にくるという。管理責任者から私に問い合わせがあった。私は「見積り担当がわざわざ、来るのは前例がない。審査にかかわることで来るなら、審査員が来て行うべきで見積り担当では資格上、好ましくない。本当に見積もりだけなのか、再度確認したほうがよい。」と言った。そうしたら、見積りだけだという回答で、当日、L審査機関から人が来た。
私の予想は当たり、見積りでなく、パワーポイントでISO9001:2000の概要説明をしたという。パワーポイントを使ってみたかったのだろう。その人はISO9001の審査員資格はなかったが、ISO14001の審査員資格はあると言う。
そして、社長に「2000年版では、社長は審査員に質問されても、答えなくてよいのです。担当の部長が答えればよいのです。」と言ったという。案の定、審査妨害である。N社の管理責任者は慣れないためか、そこで「それは、審査員が言うべきで、貴方は言ってはならないことでしょう。ビジネスの世界でも、専門でないことをベラベラいうのは、社名(この場合、審査機関のこと)を汚しますよ。」と注意しなかった。後で私はその管理責任者に「今後、フェアな審査を期待するなら、ルールを守らないときは、きちっと注意する姿勢を心がけることが今から不可欠である。」と言った。
ところで、このL審査機関の見積り担当者が「社長が答えなくてもよい。」というのは、多少の根拠がある。それは、2000年版は経営責任者への要求は増加したように見え、審査員によっては、「経営責任者への質問時間が増える。」という人もいるようだ。しかし、逆に、「確実にする」が増えた。これに着目すると、質問は減るはずである。
例えば、94年版では「4.1.2.2 経営資源」で「必要な資源を明確にし、それを提供すること。」とあったが、2000年版では「5.1 経営者のコミットメント」のe)で「資源が使用できることを確実にする。」となった。
この「確実にする」ということは、社長、自ら直接しなくても、それができる仕組みを責任を持って作るという意味がある。だから、仕組みの詳細説明は、担当部長でかまわない。
したがって、このL審査機関の見積り担当が「確実にする」で部下に任せた場合、「社長は答えなくてもよい。」というのは一面で正しい。その場合、任せた部長が説明すればよい。しかし、「どのように確実にしたか」は社長に説明責任がある。それは、社長が答えるべきである。
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