ISO9001:2000と関連規格(H13年10月3週号)

ISO9001:2000要求を正しく理解するには、他の規格から逆に見ることによって、非常に参考考になることがある。

  1. QS9000(ISO/TS16949)
    QS9000(ISO/TS16949)は、ISO9001:2000をベースとして、これにアメリカの自動車メーカーへの自動車部品供給者に対する規格として、不足する要求項目を追加している。 すなわち、ISO9001:2000の136のshallに対してそれに匹敵するshallが追加されている。これは、逆に、ISO9001:2000を理解するときに有効である。ISO9001:2000の要求のあいまいな点、そこまでは要求していない点が明確に分かるからである。

    (1)識別
    例えば、「7.5.3 識別及びトレーサビリティ」でISO9001:2000は「必要な場合には、組織は、製品実現の全過程において適切な手段で製品を識別すること。」とあるが、QS9000では、「7.5.3『必要な場合には』は適用されない。」とある。全部識別が必要なのである。逆に「必要な場合」の意味も理解できる。

    (2)設計のアウトプット
    「7.3.3 設計・開発のアウトプット」では工程設計アウトプットが明確に登場する。QS9000(ISO/TS16949)は「7.3 設計・開発」には工程設計が含まれるという立場である。装置工業であろうと、機械工業であろうと、顧客満足のためには、すべての業種の設計・開発に工程設計は不可欠として明快である。
    ここでISO9001:2000の「設計・開発へのインプットと対比した検証ができるような様式」という表現に対し、新しいQS9000は、94年版の「設計インプットの要求事項に対して検証及び妥当性確認ができるような用語で表現すること。」という表現を頑固に守っている。日本では、テニオハ審査員が、和訳が「対して」から「対比」になり、「用語表現」が「様式」となったので、変更になったと言ってあわてて間違った解釈をしているのは、これを見てもナンセンスである。何も変更がないのである。

    (3)特殊工程
    QS9000(ISO/TS16949)の「7.5.2.1」では、特殊工程の要求は、すべての製造及びサービス提供のプロセスに適用すべきとしている。

  2. ISO14001:200Xの「記録」の用語定義
    ISO14001の改訂途中の報告では、用語定義に「記録」が追加予定である。それは「達成された結果又は実行された活動の証拠の提供についての『情報information』」である。ところが、ISO9000:2000にも「記録」の用語定義がある。それは「達成した結果を記述した、又は実施した活動の証拠を提供する『文書』」である。両者を比較すると「情報」と「文書」が違う。文書と記録の総称名として別な用語の「情報」が一番好ましいから、「情報」の方が論理的である。ISO9000:2000の定義では、「リンゴはフルーツである。」と言いながら、「リンゴはフルーツでないこともある。」というようなものである。このような論理的な思考を持つ一部の識者がいることも、これで分かる。しかし、ISO9000:2000との調整作業で今後どうなるかは不明である。

    ISO14001:1996の「4.6 経営層による見直し」には「この見直しは文書化(documented) しなければならない。」とあるが、これは当然、改訂案では「この見直しの記録(record) がなければならない。」と修正されている。まだ、文書と記録の定義問題は未解決である。