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1.日本と欧米の品質管理の違い
最近、24年前に発行され古典となっている「品質機能展開」(日科技連刊:水野、赤尾共著)を読んでいたら、次のような興味ある文章があった。要約する。
「品質管理ではPDCAが必要で、これらの活動は全社的であり、この連携の方法がいわゆる『品質システム』である。しかし、TQCのファイゲンバウムが意味している品質システムでは、品質の追求がない。日本のQC工程表は欧米にはない。これは、品質特性の問題は、固有技術の問題で、品質管理の問題でないとしているからであろう。しかし、管理特性の検討は『QCの問題として』重要であり、QC工程図などによってこれが計画的に行われている点では、日本の品質管理のほうが優れている。」
ファイゲンバウムは、GE社のTQCで有名である。日本は1960年代に彼からTQCを学んだ。この本で問題にしているのは、ファイゲンバウムは、マネジメントシステムを「品質システム」と呼んでいて、品質が実際に作りこまれる現場(ISO9001:2000で言う『製品実現のプロセス』)が含まれていないことを著者は鋭く指摘している。
「日本の品質管理のほうが優れている」というのは、日本はマネジメントシステムでなく、現場のシステム(製品実現のプロセス)を重視しているからであろう。「品質は工程(製品実現のプロセス)で作られる。」の発想である。固有技術の改善が品質向上のカギであることを著者は示しており、これが1980年代の日本の品質が世界を席巻するカギになる。
ISO9001:2000の継続的改善は、この固有技術の改善でなく、マネジメントシステムの改善に限定されるので、品質向上に効果的かは疑問であるという考えは、ここから生まれる。
2.品質マネジメントシステムは製造実現プロセスを含むのか
品質システムは、分かり難い表現で、私は、以前からこのホームページでも品質マネジメントシステムとすべきであると提言していた。
ところで、品質マネジメントシステムは、製造実現のプロセスを含むのかということについては、ISO9001:2000はどうも煮え切らない。それはISO9001:2000の「4.1一般要求事項」の参考に「品質マネジメントシステムに必要となるプロセスには、製品実現のプロセスが含まれる。」という表現があるからだ。「必要とする」という言葉の意味は、製品実現のプロセスが含まれるのか、関係だけを意味するのか、あいまいな表現である。序文に「この規格は製品要求事項を補完するものである。」と言っているのであるから、「品質マネジメントシステムは製品実現のプロセスを補完するものである。」とすっきりとすべきである。
「補完」とは「異なった2つのものが助け合う」という意味である。だから、先の「品質機能展開」のように「品質マネジメントシステムは、製品実現プロセスを含まない。」と明確にすべきである。
これがスッキリしないので「8.2.3」の「品質マネジメントシステムのプロセスを適切な方法で監視し」という表現になって、「8.2.2
内部監査」との違いが分からず、混乱を与える。製造実現のプロセスと混同され、逆に製造実現プロセスの監視の明確な記載が抜けてしまっていることになる。
内部監査にも計画、監査の実施、評価のPDCAがある。この場合のDは製品実現のDでなく、監査の実施のDである。このDはマネジメント活動である。しかし、経営レベルのPDCAのDはマネジメント活動ではなく、製品実現の活動である。このような混乱が、ISO9001:2000にあるので規格の理解には、要注意である。
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