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1.A社の過剰な破壊検査
A会社は、中小の部品メーカーでスポット溶接工程がある。特殊工程として電流値と時間でパラメーター管理をしている。ところが、顧客の品証課長から、1日1ロットだから破壊検査は毎日、スタート時、作業途中、終了時の3回やるべきだと主張され、仕方なく、1日3回破壊検査をしていた。スポット溶接は1日1000個くらいの加工だから、500個くらいの間隔で検査をしていることになる。長年のデータを見ると不良は皆無で、破壊値は規格値の倍以上の値であり、完全に安定状態である。1日1ロットは便宜的な区分であって、破壊検査の頻度とは関係ない。昼の休憩があるからといって、半日を1ロットにしたら、倍の検査をしなくていはいけない理屈となる。
A社の自動機加工の方は1日、2万個くらい加工するが、これも段取り時、途中、終了時の3回の検査をしている。だから大体1万個間隔の検査である。これは、特殊工程でないのでパラメ―タ―管理はしていない。特殊工程のほうがパラメーター管理をして、かつ、特殊工程でない機械加工より検査間隔が厳しいという矛盾を起こしていた。
特殊工程の検査はコストがかかるから、パラメーター管理で代行しているという意味がない。スポット溶接の検査は破壊検査であるから、その検査の手間と試験サンプルの破棄コストの損失は大きかった。
早速、A社は、全品番でなく、代表サンプルで検査頻度を月単位にするということにした。
2.Subsequentの意味
特殊工程の日本訳は「事後の検査ができないもの」とか「それ以降の検査ができないもの」である。87年版と94年版は「事後の」であったが、2000年版で「以降の」と日本訳が変わっている。しかし、もとの英語は不変でsubsequentである。これは考えてみるとおかしな文章である。何故なら、検査は必ず、検査する「物」が必要だから、すべて「加工の事後」、「加工の以降」であるのは当然である。それなのに、何故、特殊工程には、わざわざ、subsequentを入れたのか。
その理由は、subsequentの意味は「事後」や「以降」のニュアンスと違うことが推測される。「加工後すぐに」とか、「加工に連続して」とか言う意味で、意訳すると「容易に」にもなる。破壊検査は通常、加工に「連続して」「容易に」検査ができない。
そういう問題意識で、「中小企業のためのISO9000:ISO/TC176よりの助言」(2000年版対応)を見ると、ここには、特殊工程の解説は「プロセスの結果が『すぐに』測定できない場合」とあり、subsequentの代わりにimmediately
(すぐに)を用いている。これは、上記の見方を裏付けている。Immediatelyであれば、単純に「事後」「以降」とは訳せない。「加工直後」である。
同時に、ISO9000:2000の「3.4.1 プロセス」の参考3.の「容易に(readily)又は経済的に(economically)検査できない工程を特殊工程ということがある。」がよく理解できる。
A社では、「非経済的」検査をしていたのである。顧客の品質保証課長は、顧客代表ではなく、間違った解釈をして、外注いじめをしている個人に過ぎないことになる。賃金が20倍の中国に負けるはずである。
日産のゴーン社長は、日産のV字型回復を達成したが、購入コストのダウンが大きな要因である。しかし、こういう無駄なコストをまだ、かけている外注があることを知れば、さらにコストは下がるであろう。
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