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昨年10月にメキシコのアカプルコで開かれたTC176総会において2000年版で解釈が分かり難い点の追加説明を考えているとのこと。あげられた中にアウトソーシングと購買の関係、除外説明の方法、2つの品質目標(2つの品質計画と関係)、プロセスアプローチの意味などがあった。
これらのあいまいさは、すでに予想通り、審査でもトラブルが出ている。TC176の討議議題になっているということは、世界的に共通している問題であることを示している。
1.アウトソーシングと購買の違い
「中小企業のためのISO9001:TC176よりの助言」(2000年版用・和訳なし)では「供給者」と「下請負契約者」とは同じ意味であると解説している(このホームページ「2000年版項目別分類」の「4.1 システム一般要求事項」のH13年8月2週参照)。
それなのに、ISO9001:2000は、アウトソーシングは4.1項で扱い、購買は別の7.4項で扱っているので、アウトソーシングと購買は別なものであるという誤解を招く。無理に区別しようとして、アウトソーシングの管理とは、アウトソーシングをした会社に行って、社内と同じように監視することだという指摘をする審査の例も出てくる
(ホームページ「2000年版項目別分類」の「4.1 システム一般要求事項」のH13年5月1週、2週参照)。
アウトソーシングの例に、設計、熱処理、洗浄、メッキ、塗装、IT、保全、校正、輸送などがあるが、これらは、94年版の「4.6 購買」でも外注業者として管理方式を定め、評価・選定を行っている。実務的には別に変化は無い。
2.除外の説明方法
製品設計がない企業でISO9002を取得した企業は、2000年版に移行するとき、わざわざ「製品設計の除外の詳細と除外を正当とする理由」をマニュアルに書かなければならない。しかし、せいぜい「製品設計は顧客が行うので7.3は除外とする。」というようにしか書けない。「詳細な」表現のしようがないから、今まで、この「簡単な」文で認証を得ている。
もう1つはどのレベルまで除外を書くかである。ある企業で、「供給先での検証」を除外に含めたら、審査員が「顧客を規制するものである」と言った。それでは、「製品設計がない」と除外しても、それは顧客に「貴社が製品設計をしないと当社は受注しない。」と規制することになる。審査員の屁理屈である。
このあいまいさにQS9000(ISO/TS16949となる)は、気がついたのか、「除外は製品設計の7.3に限定される。工程設計は除外できない。」と明記している。
3.2つの品質目標
「5.4.1品質目標」と「7.1 製品実現の計画」のa)にある「品質目標」はどう違うのか。ある企業では、「5.4.1」の「品質目標」は年度目標で、例えば「クレーム年間3件以下」であり、「7.1 製品実現の計画」の品質目標は、月、数百種類の製品の品質目標(図番)である。これを混同する審査員は、「『5.4.1』の『品質目標』は、『7.1 製品実現の計画』の『品質目標』にブレークダウンしなくてはならない。」と、現実離れした不毛な議論をするようになる。
4.プロセスアプローチの意味
企業活動にはプロセスは不可欠である。それなのに、何故、わざわざ、2000年版はプロセスアプローチと言うのか。アプローチは「見方」「着眼点」のことである。
プロセスアプローチは、伝統的な個々のプロセスの稼働率を重視する「機能アプローチ(ファンクショナルアプロ―チ)」に対立する見方である。顧客の要求から製品提供までのプロセスのつながりを重視するもので、1980年代にトヨタ生産方式が生み出し、世界的に拡大した画期的な見方で、後にアメリカの「リエンジニアリング革命」に受け継がれる。
これは、図のような格子図を用いて説明すると分かりやすい。交差点がプロセスである。これを縦方向のつながりの効率管理(リードタイム短縮)を優先する見方がプロセスアプローチであり、伝統的な機能的アプローチは横方向の各職能のプロセス効率(稼働率向上)管理を優先する(このホームページの「基礎知識コーナー」の平成13年2月2週号「プロセスアプローチの正確な説明」参照)。どちらもプロセス自体は重視しているのである。
製造業で、機能アプローチをとると、稼働率重視のため大ロット主義になる。プロセスアプローチでは、リードタイム短縮のため、工程同期化、平準化、1個流し、セル方式、シングル段取りなどの少ロット主義となる。このようにプロセスは同じでも、それに対する見方(アプローチ)が、完全に異なる。だから、プロセスという言葉を使うことがプロセスアプローチではない。ある審査員が、プロセスアプローチと称して「プロセス一管理表」を企業に作らせていた例があるというが、これは個々のプロセスをただインプットとアウトプットで整理しただけで、プロセスの縦のつながりを見ていない。プロセスアプローチとは無縁である。むしろ、機能別アプローチである。
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