審査機関の変更・その2(H15年2月3週号)

15年1月2週号の「審査機関の変更」の記事にのっているM社の管理責任者は、J審査機関の審査方法がずさんなので、2000年改訂を機会に、審査機関を変えるため、外資系の4つの機関を訪問した。

1.T機関
中小企業のM社は、94年版で重たい文書システムに苦しんだので、2000年版では品質マニュアル1冊で管理規定なしの簡潔システムにした。したがって、審査機関を訪問するときに、マニュアル持参で説明できた。
ところが、T審査機関で窓口対応した審査機関の担当は「マニュアルに7.2のaからdの項目が文章として書いてない。」「マネジメントレビューのアウトプット項目の3つが文章として書いてない。」と言い出した。要するに規格の丸写しの要求である。
「それは、2000年版では"文書化した手順"はなくなり、企業の任意になった項目である。」と反論したが、かみ合わず、喧嘩になりそうなので、やめて帰った。

2.S機関
ここは、1冊マニュアルは問題なかったが、応対に出た営業担当が、熱心に、「プラントサーベイ」という事前確認みたいなものをすすめた。これをやると本審査でメジャーな問題を指摘されて認証が延期になることが防止できるということである。しかし、これは1種の脅かしで、M社はすでに94年版で認証を得ているし、2000年版でも最初、文書審査もある。大体、はじめて審査を受ける会社すら、予備審査はオプションである。その上に、「プラントサーベイ」を要求するのは、コンサルティング要求に等しく、審査倫理を守っていない。営業活動は結構だが、ルールを破った押し売りである。一旦、「プラントサーベイ」は断ったが、押し売りを止めないので、ここもやめることにした。

3.B機関
営業部長が出て、1冊マニュアルを見て、特に問題がないようだと言うコメントであった。審査料も審査機関の変更による費用の増大も心配なかった。

4.L機関
ついでに、L機関も訪問したら、びっくりであった。営業担当が応対に出て、5.4.1と7.1a)の品質目標の違いを理解しておらず、7.2.1では「a〜dの製品要求事項の4つは文書で明記しておくべきだ。」と、偶然に、T機関と同じように、規格に無い文書化を要求した。反論すると、「うちの審査員は皆同じ見解を示すはずだ。」と言った。
この時点で、管理責任者から、私に連絡が来た。私が2000年版でコンサルをしたうち、4社がL機関の認証を得ており、全部審査員は異なるが、4社とも7.2.1ではa〜dの要求事項は文書にはなく、その営業担当の言ったことはウソであることを伝えた。
例えば、4社のうちの1社は、300人ほどの会社であるが、7.2.1は次のようなマニュアルの数行の文章で終わりである。規格の丸写しであるa)からd)の文章は皆無である。管理規定はもちろんない。

7.2.1 製品に関する要求事項の明確化
営業部門担当は、顧客依頼書及び図面などにより、「見積り検討依頼書」を関連部門に発行し、検討会議を行う。この際、議事録をとる。その検討の上、見積書を作成し、顧客に提出する。この際、顧客図面の内容が概要だけを示してあり、当社で詳細の追加を行うときは、技術部は承認図を作成し、顧客に確認をとる。なお、新規品でも、従来品の類似性が高いと営業担当が判断したものは、検討会議を行わず、見積書を提出する。

5.最終選択
結局、M社はB審査機関を選択した。それにしても、審査機関は、営業が下手である。これでは、民間企業で営業をしたとき、ISO9001:2000が要求する顧客が満足する正常な営業マンにはなれないであろう。不勉強で、単純な押し売り、おどし、はったりなど、ヤクザ商売になっているからだ。
また、2000年版で意図している文書化の簡素化を理解しておらず、まだ、94年版と同じ発想の審査機関の関係者が多いことも分かった。M社が事前にいくつかの審査機関を訪問したことは企業防衛上、正解であった。