雪印と明治乳業の違い (H15年6月1週号)


5月4週号の「日経ビジネス」に雪印と明治乳業の違いを掘り下げている。これをISO9001:2000の観点から検討してみよう。

1.明治牛乳の生産技術
業界トップの明治乳業は、中山会長が、93年に海外の工場を見て、その生産や衛生施設などのレベルがはるかに高いので、国際競争力に危機感をもち、90年代に徹底的な工場設備への改善投資を行う。「品質は工程で作られる」からである。
これにより、例えば、パック工程では、殺菌状態は、病院の手術室並みになり、8日だった品質保持期間が21日になったため、輸送範囲が拡大したという。牛乳製造の「プロジェクトX」である。

2.雪印の問題点
これと比較すると、雪印は技術的な投資が劣っていたようである。その体質は、例の中毒事件が起きても、大きな現場設備改善の問題が出なかったのでも明らかである。最初、問題になった大阪工場には、工場の壁に「品質第一」の大きなカンバンがあった。カンバンだけである。
この大阪工場でのパイプの洗浄はルール通りでなく、チェックされていないとか、脱脂粉乳の作業が基準通りでないとか、管理的な問題ばかり指摘された。関東にある工場は、保健所が検査に入ったら、チェックシートがきちんとつけていないことが分かった。
こういう管理的な問題のため、とった対策の1つが、全従業員に品質意識向上を呼びかけるパンフレットの配布である。その精神論は、ついに子会社の雪印食品での不正予防にならず、その会社まで失うことになった。

3.H社の経験
私は、数年前、大手のH食品の改善に入り、ついでにISO9000の取得指導もしたが、そのときの製造担当重役は、技術担当重役を兼任していた。彼は、現場作業者のチェックリストを嫌い、徹底的に自動洗浄や、自動点検を行う設備投資を行った。採算が合うのかなと思うくらいの投資であった。だから、ISO9000を取得したとき、逆に、チェックリストが激減した。

書類の増加は、品質向上の基礎になる技術から目をそらせ、品質の低下につながる。