セドン氏の近況とトヨタ生産方式 (H15年7月2週号)

1.サービス業のトヨタ生産方式導入で超多忙
最近のメールによると「こんなISO9000はいらない」の著者であり、ISO9000の批判者で有名なセドン氏(ヴァンガードコンサルタント社・ディレクター)は、超多忙である。
2000年の4月に氏の事務所を訪問したときは、コンサルタントは2、3名であったが、今、17名であるという。それでも、顧客の依頼を消化できずにいるが、顧客もキャンセルしないで待っているという。
氏は「こんなISO9000はいらない」に述べているように、トヨタ生産方式の生みの親である大野耐一氏やデミングの信奉者である。
氏のコンサルタント業務のメインは、サービス業の改善であるが、考えや手法はトヨタ生産方式に基づいている。イギリスのサービス業は中小企業が多いようで、ISO9000の苦しみからトヨタ生産方式の力で脱却しようとしているのであろう。トヨタ生産方式は日本でも再度、見なおされているが(「トヨタ方式の再ブーム 」:H15年6月3週号参照)、それがイギリスのサービス産業では、ブームになっている。セドン氏は、それを予見していたので、その分野では、先行していた。だから、ライバルなしで、超多忙なのである。 
氏はイギリスのISO9000の真実を、勇気をもって言った人だけに、氏の動向はイギリスのISO9000の将来を示しているといえる。それは、また、日本のISO9000の将来を占う意味でもその動きは参考になる。
東電のデータごまかしも、似た現象がイギリスで先行して発生していることを「こんなISO9000はいらない」で事例を示している。すごい本であると今更思う次第である。

2.ISO9000とトヨタ生産方式
(1)イギリスA社の場合
2000年4月にイギリスに行ったときに、30人くらいの板金メーカーA社に行った。ここは1970年代のBS5750時代から認証を取得していたが、書類過剰のシステムで苦しんでいた。
1990年にその会社の社長がトヨタに勉強に来た。そして、帰ってから徹底的なムダとりが始まった。まず、作業者は検査できないというシステムを変え、自主検査にした。出荷検査も測定値の記入をやめた。管理規定は無くし、品質マニュアル1冊にした。しかも、パソコンの画面で、スクロールして見るようにして、印刷を不可能にした。要するに配付ゼロである。工場の現場には、作業手順書はなかった。それらはビデオになっており、訓練はそれで行っていた。現場の文書は、顧客の図面だけであった。
(2)イギリスB社の場合
B社は20人くらいの計測器のメーカーであった。そこのディレクターは、1990年代に、アメリカで日本の「先生」からトヨタ生産方式を学んだ。帰ってから、組立現場をセル方式にした。現場の壁に5Sの解説が貼り出されていた。机の上で書類ばかり作っている品証部長を連続3人解雇した。
現場でトラブルとすぐに、現場にとんでいった。オフィスでの議論を嫌った。
私がそれは日本では「3現主義」と言っていると説明したら、5S同様に、「3 Gen」と紙に書いて壁に貼った。
ISO9000の書類はまだ、スリム化の最中であったが、審査に来る審査員がトヨタ生産方式を知らないので話が合わないと批判していた。
(3)郵政公社
私の知人が、郵政公社にいる。最近、トヨタ生産方式が導入されているが、徹底的なムダ排除への発想の転換が必要であるという。その前に、ある部局がISO9000をとっていたが、無駄な書類に悩まされているという。この2つのシステムは基本的に相反していると言っていた。