クレームに対する3審査機関の対応比較
(H15年7月5週号)

たまたま、3つの会社、A社、B社、C社が、それぞれ異なる外資系の審査機関に、似たようなクレームを出した。それは、書類審査や予備審査で、審査員がshallにないことを要求して、「助言」の乱発をしたからである。本審査では、このことのないようにクレームとして、それぞれのマネージャーに提出した。ところが、審査機関によって、反応が全く異なっていた。

1.L機関とS機関
A社、B社への回答では、「助言」の乱発を謝し、本審査では、「助言」と「不適合」を明確にし、「不適合」はどのshallが抵触するかを明らかにするという簡潔な文書が、マネージャーから来た。

2.B審査機関
(1)平成13年
この機関は、このホームページの審査/コンサル体験談で平成13年に頻繁に登場する(H13年4月1週4週5月2週6月2週8月5週11月1週11月3週)。
この審査機関の特徴は、これらの事実にあるように「助言」と「不適合」がメチャクチャであることだ。しかし、上記のH13年4月1週号のように、クレームをマネージャーに出し、解決しているケースもある。
(2)平成15年
今年、M社が、B審査機関を選んだ(このホームページの審査/コンサル体験談:H15年1月2週2月3週3月4週)。そのとき、審査がスムースにいったので、B審査機関の姿勢も変わったのかと思って、今年になってC社がB審査機関を選んだ。
ところが、最初の文書審査のときから、おかしい審査報告であった。兆候が出ていた。予想通り、予備審査に来たK主任審査員は「こういうことは言ってはいけないのですがーーーー」と言いながら「この帳票欄を直しなさい。」というレベルの「助言」を乱発した。ひどいときは「たった1行の文章の修正なのに、何故、こだわるのですか。直さないと次に話が進めない。」とshall1要求に無いことをしつこく押し付けしてきた。本人は悪いと知りつつ、「助言」を乱発している。「泥棒はしてはいけないのですがーーー。」と言いながら、平気で泥棒をしているようなものである。悪質である。
そこで、マネージャーにクレーム提出となった。長い返事が来た。この返事の文書の内容は、次のように先のL審査機関とS審査機関と全く異なっていて、ダラダラと意味不明な言い訳が続いていた。

a)「助言」について
「審査員が指摘したことは、『助言』でなく、審査を通じて観察した事項の中で、不適合の可能性がある状況、改善の余地のある状況を被審査側側にご報告し、それらの観察を通じてシステム又は活動の見直し及び必要により修正、是正、予防、改善につなげて頂くこと」を意図したもの」

「C社コメント」
これが「助言」そのものなのである。「助言」を知らない回答である。審査機関の正式回答文書だけに問題である。当の審査員は「こういうことは言ってはいけないのですがーーーー」と助言であることを意識しているのに、本部のマネージャーがその区別を知らない。
ISO10011-1の監査の指針では「助言」とあり、英語はrecommendationである。改訂されたISO19011:2002の監査の指針でも、英語は同じであるが、訳は「提言」に変わっているだけである。

b)回答におけるマニュアルレビューの補足説明
「マニュアルはシステムの根幹をなす文書ですのでshall以外の重要な部分もマニュアル中に(又は下位文書)に記述がある方が、適合性の検証及び運用上も明確になると考え、ご報告のような内容になったものです。」

「C社コメント」
ISO9001:2000では文書要求は激減した。その趣旨に反する説明である。今度の改訂で、審査員は現場審査が増えることは自明の理である。中には、それを理由に、審査費用を上げている審査機関もある。
そして、これは、すでに文書に関する「助言」を公的に認めている説明である。「shall以外の重要部分」? そんなに、重要ならshallにあるはずである。Shallの意味を知らない。ISO9001:2000の「4.2.1 一般」のd)で「組織が必要と判断した文書」というshallがあるではないか。C社は製造業なので、d)のshall要求で膨大な図面や加工基準書がある。
結局、B審査機関は、「不適合」と「助言」の区分という審査の基本が組織的に一貫していないことが明確に文書で分かった。

このC社の情報を聞き、たまたま、私の指導で、審査準備中の会社D社、E社がどの審査機関に申請しようかと迷っていたので、とりあえず、企業防衛のため、B審査機関は避けるようにアドバイスした。