ブリジストン火災事故と自殺・是正処置(H15年10月1週号)

1. 自殺問題
9月15日の下野新聞では、14日に、ブリジストン栃木工場の火災事故第一発見者の一人である47歳の男性社員が、橋から数十メートル下の河原に飛び込み、自殺したというニュースが大きく扱われていた。遺書はあったが、火災事故については書かれていなかった。14日は、その人の警察の事情聴取が予定されていたが、警察に来ないので、警察がさがして、発見した。第一発見者なので、その証言は原因追求のため、期待されていたが、閉ざされてしまった。
新聞によると、この社員は、改善担当で、現場のため、踏み台や棚を作っていたという。

先週、栃木の会社を訪問したら、噂話的に、その担当者は、事故発生当時、設備の修理で溶接をしていたという。それが、火災の発端ではないかという。
工場稼動中に、溶接を行うときには、安全上、所定の申請手続きをとって行うルールであったが、申請書類がなく、それをしていなかったのではないかという。
もし、そうであれば、これは、雪印問題や東電問題と同じで、システムが形式化して、面倒な手続きになっているからではないか。修理は、早くやらないと生産に影響する。お役所的な手続きでは、実態に合わない。現場は、コスト、納期と一体である。それを考慮した強靭な安全システムでないと、守れない。後から書類を書いたりする。形式化すると、東電の原子炉点検のように記録もいいかげんになる。そのうちに、本質を見失う。
ISO9001:2000も気をつけないと、書類におぼれ、真の品質向上を見失うというボディブローが、ジリジリきいてきて、致命的なマイナス効果になる(ブリジストン火災事故と「バカの壁」:H15年9月3週号参照)。

2.日経ビジネスの特別寄稿
この火災事故について、9月22日号に唐津一氏が、新日本製鉄名古屋製鉄所とブリジストン栃木工場の相次ぐ事故について、特別寄稿している。氏は、ブリジストンの火災がここまで、拡大したのは、管理システムに欠陥があったとしか考えられないと言っている。

3.県の防災点検と予防処置
栃木県の消防署では、ブリジストン事故に対応して、県内の主な工場を巡回して、防火体制の点検を行っている。私が行った会社も、最近、消防署の点検を受けという。この会社は、ゴムの会社ではない。別業界である。過去、火災を起こしたことはない。これは是正処置か、予防処置か。

ブリジストンの栃木工場では、燃えなかった建屋は、生産を再開した。これも消防署が入り、点検して、問題が見つかり、是正して、合格になってから再開したという。この建屋は燃えていない。これは、是正処置か、予防処置か。

月間の不良統計から、不良の傾向を見て、予防処置をたてるといっても、この不良統計は『現実に起こった不適合』の集計である。「『現実に起こった不適合』からの処置は、予防処置ではない。」と言えば、これも予防処置にならないことになる。

「『現実に起こった不適合』からの処置は、予防処置ではない。」というきめつけでは、このように際限がなく、どのレベルから予防処置なのか、無駄な泥沼の神学論争におちいる(水平展開は予防処置か?:H15年9月2週号参照