1.品質方針
A社は、審査機関によるISO9001:2000の中間審査が終了した。
審査員は、「5.3品質方針」のc)には「品質目標設定とレビューの為の枠組みを与える。」とあるが、掲示された品質方針には、それがないとして、不適合となった。
A社には、品質マニュアルの方に「品質目標設定とレビューの為の枠組みを与える。」という記述があるが、審査員は、品質方針そのものに「品質目標の設定及びレビューのための枠組みを与える」の文章をそのまま含めるべきであるという。
管理責任者は、このc)の意味は、できた品質方針を、トップマネジメントが下位にくる品質目標の設定者に枠組みとして使用するように提供することを要求しており、品質方針の運用を要求している。ポリシーとという理念に関係のない実務的な運用内容であると主張した。
品質方針の中に規格の文章をそのまま書けという要求がないから、不適合の明確な根拠が無い。正しい審査は、まず、品質方針自体の審査については、その制約要求の条項はa)とb)があるかを審査すればよい。c)の審査は運用だから、品質方針だけでなく、品質目標を見て、それが品質方針の枠内であるかを確認すればよいことである。
これは、ポリシーとというのは、変更の少ない理念であるという基礎常識を欠いていることが間違いの底にあるようだ。「バカの壁」である(このホームページの「2000年版項目別分類」コラムの5.経営者責任の「掲示された品質方針の内容
(H15年4月4週号)」参照)。
2.特殊工程
B社は、設計コンサルタント会社である。製品は「設計書」や「報告書」などである。だから、94年版では、「特殊工程」は適用除外であった。
ところが、最近、B社の審査機関が、2000年版向けに、有資格者が実施する業務には特殊工程を適用除外すべきでない、という小冊子(審査の基本方針)を配付した。地質調査報告書の作成などには、通常、地質調査技師、測量技師のような資格が必要であるから、特殊工程があることになる。”妥当性の確認”の対応は、「有資格者が指定された業務については、その定められた有資格者が実施又は承認したことを確認する。」いうことでよいという。本質と離れた形式だけの典型的な官僚的、形式的なつじつま合わせのシステムである。
「報告書」はコンサルタント会社の場合、設計のアウトプットであるから、設計検証や設計の妥当性確認でチェックされている。特殊工程は、製造工程のないコンサルタント会社には基本的に無い。あってもすべて、「それ以降の工程で検証可能である」。しかし、この審査機関はこれを無視し、国際規格と異なった内容を一審査機関の規格として設定し、審査機関独自の「画一化された構造」を企業に要求している(このホームページの2000年版項目別分類:設計・開発「規格別2つの妥当性確認の混同
(H15年5月1週号)」参照)。これも「バカの壁」か。
3.「著しい環境側面」のハッタリ指摘
C社は、ISO14001:1996の予備審査で、審査員に「法規制があるものは、すべて著しい環境にあげるべきである。」と言われた。C社では、法規制にあるものでも、規制値内で、かつ、特に管理の必要がないものは著しい環境側面としてあげていなかった。
C社の管理責任者は、ISO14001:1996の「著しい環境側面」には「法規制があるものはすべて著しい環境側面となる。」という定義はないし、最近、検討中のISO14001:200Xの中間報告では、同じ環境パフォーマンスでも著しい環境側面になるかどうかは、企業によって異なるという解説が加わるという話を聞いていたので、反論した。
その反論に対して、審査員は「当審査機関ではそれで統一している。」という。そこで管理責任者は審査機関のマネージャーに「審査機関で統一した見解なのであれば、その正式文書を送付してくれ。」と要求した。管理責任者はもし、文書があったなら、「一審査機関の文書がISO14001:1996より権威があるのか。」と逆に反論するつもりでいたのである。結果的に、そういう文書はなかった。審査員の人格が問われるハッタリであった。
しかし、この審査機関のマネージャーはまだ、往生際が悪い。「正式文書はないが当審査機関で認証を受けた企業は、『著しい環境側面』にあげている。」とねばった。
この段階で管理責任者から私に問い合わせが来た。私は、最近、その審査機関で認証した企業で、法規制のあるものでも「著しい環境側面」にあげていない企業があると企業名まであげて連絡した。これも審査機関のマネージャーの往生際の悪いハッタリであった。
そこで、管理責任者はマネージャーに、「結論的にハッタリが明らかなので、当社は、当社の判断で行う。」と連絡し、修正しなかった。
本審査では、この件は一切、当の審査員はふれず、C社の著しい環境側面の修正は無かった。
4.訓練の個人記録の強制
D社は、10人程度の中小企業である。訓練記録は、訓練内容ごとに記録していた。予備審査に来た審査員は、個人別の記録シートがないと指摘した。しかし、10人程度の企業に個人別の記録は意味がない。しかし、審査員は、その審査機関のチェックシートに「個人別訓練記録があるか。」とあるので、その不適合だという。
そこで、管理責任者は、審査機関のマネージャーに、「貴審査機関のチェックリストのほうがISO9001:2000規格より上位になるのか。」と問い合わせたら、その不適合は撤回された。
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