1.JAB主催のワークショップ
2000年版の審査が開始されてから、いろいろな審査上のトラブル解決の問題提起を受けて、ISO9001:2000の解釈や運用での間違いを正すため、JABが主催して、2002年7月31日、8月1日にワークショップが行われた。日本のISO代表委員をはじめ、審査機関、審査員なども参加した。
その結果が、JABのホームページに2003年の3月に38頁の記事として掲示された。
2.グローバルテクノでの講演
10月25日にグローバルテクノでISO9000の解釈や審査の問題についての最新の議論というテーマで、顧問の大和田氏(TC176国内対策委員)より講演があった。このとき、解釈問題については、JABのホームページに掲示されたJABワークショップ報告書から抜粋してとりあげていた。
その中で、「プロセスアプローチ、PDCAは要求事項である」、「マニュアルには、キープロセスを規定しておなかければならない」、「規格要求事項に対応する活動がすべてプロセスとしてマニュアルに規定されていなければならない」という間違った審査の例が説明された。
3.A社の審査
これと前後して、30人くらいの製造業のA社が、日本系のJ審査機関で2000年版の移行審査を受けた。文書審査の段階で、事前に審査機関から調査用紙が送付されてきた。それは、キープロセスを書くようにというもので、審査機関の様式番号があり、審査員の書いた記入例まで添付してあった。その後の文書審査では、次のような指摘を審査員が指摘していった。
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番号 |
項目 |
審査員指摘 |
A社検討結果 |
| 1 |
4.1 |
a)からf)の要求事項にそって、どんなプロセスを運営管理していくのかを明確にしていない。そして、主要プロセスの達成目標を定め、PDCAの管理サイクルを回して、継続的な改善を実施する必要があるが、それが不明確である。 |
JABワークショップ報告書にある通り、このような国際規格のshall要求はない。 |
| 2 |
4.2.2c) |
品質マネジメントシステムに必要なプロセスが特定されておらず、したがって相互関係も不明確である。必要なプロセスが特定されていないため、主要なプロセスもはっきりしない。 |
マニュアルの3つの図で特定している。但し、「主要なプロセス」(キープロセスと思われる)と称するものは、JABワークショップ報告書にある通りshall要求がないので、明記していない。 |
| 3 |
5.4.1 |
品質方針の枠内で各課毎に品質目標が設定されているが、2000年版での目標達成活動はプロセスアプローチで行うべきである。しかし、課毎の品質目標はプロセスの目標へと展開していない。
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JABワークショップ報告書により、プロセスアプローチは審査対象にならない。Shallにない。 |
| 4 |
6.2.2c) |
教育・訓練に関する有効性評価の手順が不明確である。 |
手順書要求はshallにない。 |
| 5 |
7.2.1 |
製品に関連する要求事項として、規格要求のa)からd)が明確化されていない。 |
手順書要求はshallにない。個別の実地審査で判断すべきである。 |
| 6 |
8.2.2 |
2000年版の内部監査は、プロセスのPDCAと規格要求事項の適合性への二面から行うことが必要であり、チェックリストには、その内容がない。
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JABワークショップ報告書にある通り、プロセスアプローチや、PDCAは審査対象にならない。Shallにない。 |
| 7 |
8.2.3 |
プロセスの監視・測定において、プロセスの責任者がプロセス目標の達成活動などを適切な頻度でチェックしていない。一部、内部監査で兼ねて行っているが、これとは趣旨が異なる。
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JABワークショップ報告書により、プロセスアプローチや、PDCAは審査対象にならない。Shallにない。 |
このA社の文書審査の段階では、JABワークショップの勧告を無視して、1年たっても、依然として、ずばり、審査にプロセスアプローチやPDCAなどの考えがやたらに登場する。
これを押し付けられたのでは、2000年版になってからのほうが、逆に文書が増加することになる。無駄な文書減少という2000年版の意味が、拒否されている。
また、なんのことか理解できない神学的用語の羅列と悪文のコメントである。論理的な英文に訳すことがほとんど不可能である。
また、どれが不適合なのか、個人的なコメント(助言)なのか、不適合ならどのshallに抵触するのか、ということは一切無関係である。審査なのか、コンサルティングなのか、混乱している。ISO9000審査員資格が本当にあるのか疑う内容であった。
大和田氏は、審査機関に対するクレームは、どしどし、JABの認定部に言って下さいとのことであった。JABも期待しているだろうと言われた。
A社は、上記の指摘に対して、JABワークショップ文書を熟読し、次の本審査に対応予定である。
その後、本審査は、文書審査とは別な審査員が来るとの連絡があり、その交替した審査員がマニュアルを見て、また、「キープロセスがない。」と電話してきたという。管理責任者は、JABワークショップ報告書を熟読した後なので、「キープロセスは、用語定義にもないし、その意味が理解でできない。当社は、ISO9001:2000の認証審査を要請しているのです。」という旨の回答したら、「それは当機関内での用語です。」という審査員の回答であったとのこと。「意味が分からなかったなら、指定する本を読んでくれ。」は、まだ、なかったようだ。
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