中小企業のマネジメントレビュー
(H16年3月3週号)

1.M社の場合:毎朝の合同朝礼がマネジメントレビュー?
M社は、従業員約10名程度の小企業で、社長が開発した製品を見込みで生産し、販売していた。したがって、社長は開発設計もし、製造のことも一番よく知っており、機械修理も一番詳しいし、見込みの生産計画も自分で立て、購買も自分で発注先を決めていた。朝礼が好きで、人数が少ないから、家庭的で、社長は、毎朝、まめに合同朝礼をした。
合同朝礼のテーマは、多能な社長であるから、開発の話、来月の生産計画の話、売上状況、生産状況、作業上の品質・安全上の注意、従業員の私的な話など、話は多岐にわたる。すなわち、大手企業の開発課長、生産課長、営業課長、購買課長、品証課長、総務課長、現場職長の役割から、作業担当者の役割までをしているので、そういう日常テーマが朝礼の中心であった。

数年前、ISO9001:1994取得のため、P審査機関の審査部長が審査に来た。
そこで、審査部長は、合同朝礼を社長が行っているので、これはマネジメントレビューであるとした。他に決まった会議体がないからである。合同朝礼は、ほとんど毎朝、行っているから、年間で200回くらいになることになる。これをマネジメントレビューとすると記録をとり、保管しなくてはならない。しかし、大部分の記録内容は、現場職長レベルのものとなる。むしろ、5.5.3の「内部コミュニケーション」に該当する内容である。
社長は、「中小企業のためのISO9000:ISO/TC176よりの助言」を読んでいたので、「この本に年1回が妥当な場合がある。」と反論したら、その審査部長は あわてて「それは誤訳である。大体、その本は審査員の間では、評判がよくない。」と本をけなし出したという。
後に名著として有名になるこの本を、この審査部長は評価する「力量」がなかったことになる。当然、審査員はマネジメントレビューの意味が理解していなかったことが露呈されたことになる。

こういう中小企業ほど、社長は日常実務の管理を兼任していることが多いので、トップマネジメントして行うマネジメントレビューは、高次元のものとして、日常会議と区別する必要があるという好例である。

もっとも、真面目にやらないで、審査員の指摘にしたがって、毎日、簡単な朝礼メモをとり、それでOKにして、形だけのマネジメントレビューですますのも1つの方法である?そのマネジメントレビューのメモの内容は、圧倒的に日常的な内容であることが容易に想像できよう。

2.S社の場合:兄弟の会話がマネジメントレビュー?
S社は、20人くらいの中小企業で、兄が社長で、弟は専務で、かつ、管理責任者であった。
机は隣り合っていた。社長は営業担当であるし、経理もした。専務は、現場の仕事で多忙であった。
机は隣同士であるが、社長は営業もやるし、資金繰りで銀行などに行くので、席を暖めているヒマもない。たまに兄弟で話し合っても、細かい仕事の話しが中心である。

S審査機関のT審査員は、これを見て、兄弟の会話は社長と管理責任者の会話だからマネジメントレビューだと言った。これ以外に会議体がないからだ。
そうなると、記録を残さなくてはいけない。メモを片手に、今日は現場の欠勤が多いからどう対応しようか、先週の仕事は入金したかなどという日常的な話しの記録がほとんどになる。これをマネジメントレビュー扱いとするのはナンセンスである。
S社も「中小企業のためのISO9000:ISO/TC176よりの助言」を読んでいたので、マネジメントレビューは年1回で、社長が多くのマネジメントレビューインプットを見て個人中心でやっていた。審査員の指摘はおかしいとして、年1回を変えなかった。

これも前述のM社と同じで、こういう中小企業ほど、本来のマネジメントレビューは、日常業務の打ち合わせと違い、高次元のものとして、日常会話と区別する必要があるという好例である
もっとも、真面目にやらないで、審査員の指摘にしたがって、毎日、簡単な朝礼メモをとり、それでOKにして、形だけのマネジメントレビューですますのも1つの方法である?そのマネジメントレビューのメモの内容は、圧倒的に日常的な内容であり、結婚祝金をいくらにしようか、忘年会はどうしうようかというレベルの内容のメモが多くことは容易に想像できよう。

これについていは、このホームページの2000年版項目別コーナーの「5.経営責任」の「品質会議とマネジメントレビューの関係:H16年1月4週号」を参照されたい。