| 付加価値ある審査へのこだわりがが、その意味のない結果にかかわらず、まだ、続いているようだ(このホームページの「審査/コンサル体験談コーナー」の「『付加価値ある審査』とは書類の付加のこと?:H16年2月2週号」)。
1.N社の場合
N社は、地質調査業者である。L審査機関でISO9001:1994をとり、2000年版の移行を早めにやった。その移行審査の前に変なデータ要求が審査員から来た。それは過去3年くらいの顧客クレームとその原因統計であった。私は、それを聞いてピント来た。審査機関側から、「顧客に付加価値をあたえる」審査をするように言われ、顧客クレームを減らす提案をしようと思ったのであろう。
私は、この会社とは94年版のときから、数年の付き合いであるが、その間、クレームはゼロである。そういう業種である。内部的な不適合も数年間に2件に過ぎない。審査員は、最初から同じ人であるから、それは理解しているはずであった。結局、データはないので、それで終り、改善となる付加価値提供はなかった。
2.V社の維持審査
プレス業のV社はB審査機関の審査のときに、付加価値審査を避け、適合性の審査だけにしぼるように要請して、簡潔なISO9001:2000を取得した。
半年後、維持審査に来たとき、審査員は「貴社は最初の審査のときは、適合性だけの審査を実施するよう要請があり、そのようにさせていただきました。今回は、折角時間とコストを掛けて審査をするのであれば、システムの改善に有益な内容であれば、気が付いた点を申し上げたいが如何でしょうか?」と言った。
そこで、会社側は、文書の増加がないこと、受け入れるのは会社側の判断であることをもとに、審査員の「付加価値」審査に同意した。
結果は、文章いじり、帳票いじりが中心であった。マネジメントシステムだけで「付加価値」をつけることは、そうなることは明らかである。
管理責任者がその後、私に意見を求めてきたので、それは最初から時間の無駄であると助言した。品質は、帳票いじりとは無関係である。本当の品質が書類いじりで焦点がぼけて見えなくなるのが落ちである。
付加価値提案には、改善コンサルタントの「力量」が必要である。
3.E社の維持審査
E社は、自動車部品の組立外注である。審査機関はB機関である。94年版からシステムは大きく変わらない。半年ごとに来る審査員は同じであるが、特に、システムが変わることもなく、定着もよく年2回の内部監査も不適合はなかった。審査員は、何のすることはない。しかし、何か助言をする必要があるとあせったのか、次の4点を助言としてあげた。
(1)「計測器は管理台帳で管理しているのでマニュアルに記述してある「7.6」の校正の除外はしなくてもよいのではないか。」
E社は顧客から校正された計測器を支給されている。だから、校正は除外としている。また、支給された計測器は、「7.5.4 顧客の所有物」の管理のため、紛失しないように、保管責任者を明確にするため台帳をつけている。審査員は、この管理を誤解して、台帳があるから、校正は除外しなくてもよいという指摘である。校正の無知を露呈している。審査員の指摘にしたがったら、企業側は校正を誤解する。企業のレベルダウンになる。
(2)「内部監査チェックリストは毎回、同じものを使っているが、度々、やっているので、必要ない項目は無くすかなど、作り直したらどうか。」
例えば、「品質方針を説明してください。」という質問は、定着してくると、意味がない。しかし、それを削除したチェックリストを別に作ると個人的なばらつきとなる。
分かりきった質問を省略するなら、チェックリストを作り直さず、質問項目をとばしていけばよい。このやり方のほうが、作り変えの手間や基本質問項目の明確化という点で効果的である。
審査員の案は、2つの方法を比較すると効率が悪い提案である。
(3)「品質目標の年度目標の達成度を毎月評価しているのは、「8.2.3」の「プロセスの監視及び測定に含めるべきではないか。」
E社では、この毎月の統計データは、「8.4」の「データの分析」で扱っている。そして改善へと結び付けている。この方が、品質向上に結びつくからである。審査員の指摘のようにしようとしまいと、実務は変わりない。付加価値増加とは無関係な、無駄な議論である。
(4)「『是正処置報告書』に『効果確認欄』をつけたほうがよい。」
E社では、「是正処置報告書」には、「効果確認欄」はない。効果確認は、月報で対策後3ヶ月経過して生産実績があり、その後、再発していないものを確認して報告している。
これは、効果確認を意図的に切り離し、対策書の処理をきちんとするために、選択したものである。その理由は、E社は、顧客のISO9000システムで、是正処置帳票に「効果確認」欄があるために、なかなかクローズせず、困っていることを知っていたからである。例えば、簡単な設計ミスのような製品の設計不良の場合でも、対策実施後のどの位の期間に再発しなかったから「効果あり」と判断するのか根拠が不明確で、困っていた。
審査員の方法は、1つの代替案であるが、E社では、手間のかかる無駄な提案である。いくつかある代替案の長所短所の不勉強である(このホームページの「不適合品報告書と訓練報告書の様式の代替案:H15年2月1週号」参照)。 |