1.QS9000からISO/TS16949: 2002へ
(1)何故QS9000でなくISO/TS16949: 2002か
自動車業界のQS9000がISOの体系に明確に含まれていないため国際標準化としては問題になっていた。そこで、ISO9001:2000を頂点として、業界別の規格は、その下に技術仕様書(Technical
Specification:略してTS) というランクを設け、ここに位置付けた。こうして、QS9000に代わり、ISO/TS16949:
2002ができた。
ISO/TS16949: 2002は、ISO9001:2000をベースとしているので、ISO9001:1994をベースとしたQS9000は消滅する運命である。一応、2006年12月まで、QS9000は有効であるが、輸出している日本の自動車部品メーカーでQS9000を取得しているメーカーは、それまでにISO/TS16949:
2002に移行しなくてはならない。
(2)ISO/TS16949: 2002の問題点
QS9000は、アメリカの自動車メーカーだけの規格であったが、ISO/TS16949: 2002は、欧州の自動車メーカーも参加した。日本の自動車メーカーだけが採用していない。しかし、日本の自動車部品メーカーは、日本国内の自動車メーカーだけでなく、全世界の自動車メーカーに部品を供給しているので、世界的な貿易をするには、ISO/TS16949:
2002への切り替えが不可欠である。
(3)ISOモバイル
上記のような背景があるので、ISO本部発行の機関紙では、2006年には、全世界の自動車のうち80%は、ISO9001:2000取得の部品メーカーが供給した部品で出来るであろうと言っている。残りの20%は、日本車である。
2.自動車部品メーカー外注へのISO9001:2000取得強制の原因
ISO/TS16949: 2002の「7.4 購買」には、ISO9001:2000の要求事項に追加して、次の要求がある。
「7.4.1.2 供給者の品質マネジメントシステムの開発
組織は、供給者がこのTSに適合することを到達目標として、供給者の品質マネジメントシステムの開発を実施すること。ISO9001:2000への適合は、その到達目標の最初の段階である。」
この下線部分は、QS9000には明記されておらず、ISO/TS16949: 2002で明記された。すなわち、部品メーカーは、その外注に対して、最低、ISO9001:2000を取得してもらわないと、この7.4.1.2の不適合でISO/TS16949:
2002を取得できないことになる。
これにより、中小企業である外注に、最低、ISO9001:2000の取得強制となるのである。
3.強制される外注の問題点
先月、ある大手の自動車部品メーカーが、その下請外注を集め、来年までにISO9001:2000取得するように要求したという。そうでないと、取引は止めになるという。そして、コンサルタントを紹介し、コンサル費用として全部で百数十万円程度を見込むようにということであった。
またまた、中小企業にとっては、大試練である。一時、ブームになった建設業界の中小企業を含めてISO9001:2000取得と似た現象が予想される。
そこで、ISO9001:2000の取得を強制された中小企業にとって、すでに建設などで先に問題になった次の3つの問題をまた抱えることになる。
1.大手企業の紹介したコンサルティングによる重装備の書類増となり、無駄なコスト負担を負担することになる。
2.上記の事実を知らないで、コンサルタントが教えたことがISO9001:2000と思い、仕方なく従う。審査員の指摘にも従う。すなわち、他のやり方で楽々、ISO9001:2000のハードルを十分に満たすことを知らないで対応する。
3.コンサルタントの費用があまり変わらないなら、多少安いほうがよいと考え、中味が百八十度、異なることを知らないで、無駄な道を選択する。
M社は、94年版のとき、大手企業の紹介や、専門コンサルタント団体の指導しか知らないで、94年度版で失敗した。社長は、「失敗の原因は、コンサルの情報が少なく、選択するという発想がなかったのが原因である。」と言っていた2000年版移行のときに、私の簡素化方式でゆうゆうと移行を終わった(このホームページの審査/コンサル体験談コーナー「M社、審査機関を変えて認証:H15年3月4週号」参照)。
また、フロントページの「ISO9001:2000取得の苦しさのクチコミ:H16年4月2週号」も参考にされたい。
自動車部品業界は、コスト競争の激しい業界である。20人前後から100人程度の外注が、書類過剰のシステムを強制されたら、命取りになりかねない。しかも、次第に真の品質を見失い、このホームページの2000年版項目別分類コーナーの「4.2 文書化に対する要求事項」の「三菱重工のようなトラブルの原因を作る客船火災の真因と是正処置(H15年11月2週号)」にあるような大問題に底辺でつながるおそれがある。会社をつぶす恐れもある。
04年から05年度にかけ、QS9000からISO/TS16949: 2002の移行に伴い、自動車部品下請け経営者としては、正念場を迎えつつある。
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