文書と記録の兼用書類の扱い
(H16年5月3週号)

1.左の点検項目欄と上の点検間隔欄は文書
下図のような機械Aの「機械点検リスト」がある。月ごとに1枚である。点検項目はaからdの4項目に定められ、点検間隔は週単位である。4項目だけでよいとか、週単位でよいいうのは、誰が、チェック(審査)し、誰によって承認されたのか?また、が追加になったとき、旧版と新版をどのように扱うのか?すなわち、文書管理(4.2.3)の対象となる。
そこで、下表のように、作成、審査、承認欄が必要になる(改訂履歴欄は省略してある)。しかし、この作成、審査、承認した内容は、この左の点検項目欄と上の週単位の実施指示欄だけである。

機械点検リスト
承認
審査
作成
岡田
清水
山形
04.05.10

        

          機械名A 年  月
点検項目
点検記録(週次)
1W
2W
3W
4W
5W
a
         
b
         
c
         
d
         
点検者名
         

 

2.右の点検記録欄は記録
次に、点検指示に基づいて、現場で作業者が毎週チェックし、右側欄にチェックマークを記入する。ISO9001:2000ではこのshallの記録要求はないが、「達成した結果を記述し、かつ、実施した活動の証拠を提供する」記録である。記録の記入で文書が記録に変わる。

3.文書と記録の明確な区分の必要性
このように、この点検リストは、文書と記録の兼用帳票であり、欄によって性質が異なるため、文書と記録の違いを明確に把握していないと、各欄の意味が理解不可能になる。
「記録は文書の一種ではあるがーー」などというあいまいさは、実務で混乱を招く。
その誤解した記入例の1つは、右上の作成、審査、承認は、作業者が点検を終わった後の捺印と誤解し、作成が点検した作業者、審査、承認は現場責任者となり、事後の捺印となることだ。この間違いの原因は、文書と記録の違いを明確に把握していないことである。点検記録が記入される前の点検リストには、右上の作成、審査、承認は、捺印されていなくてはならない。それが理解できないのが原因である。

4.審査・承認と確認の使い分け
この混同を避けるため、私は、下図のようなモデル図を示す。


この考えを、この「機械点検表」に適用すると、作業者が記録後、上司が捺印するのは「確認」として、下表のように別に欄を設けることになる。
中小企業の場合、作業者と現場リーダーは、同じ職場にいるので、リーダーの確認は目視でできる。書類で確認するのは無駄な形式であることが多い。このときは、確認欄は不要である。

機械点検リスト
承認
審査
作成
岡田
清水
山形
04.05.10

           

          機械名A 04年6月
点検項目
点検記録(週次)
1W
2W
3W
4W
5W
a
       
b
       
c
       
d
       
点検者名
山田
       
確認
小川
       

 

5.マネジメント不在の機械点検
あるTPM(Total preventive maintenance)を実施中の工場では、点検は「自主点検」であるから、承認欄はない。その職場のリーダーには、同じ原本がある。
私はある機械の点検リストをサンプリングした。「自主点検」の点検7項目に対して職場リーダーの項目は9項目であった。2項目多い。改訂履歴を見ると、1年半くらい前にトラブル対応で追加されていたが、その改訂は私のサンプリングチェックまで、1年半の間、作業者の「自主点検」には、反映されていなかった。
原因は、作業者が、毎月、自分の点検リストの控えをコピーし、記録を繰返すだけで、職場リーダーの原本との照合もなかったし、職場リーダーも作業者のリストを見ていなかった。毎日、同じフロア―で顔を合わせ、会話しているのにーーー。マネジメント不在であった。ISO9001:2000になると、承認印がない点検リストでは、作業者は点検できない。