顧客満足の測定方法
(H16年6月5週号)

1.顧客満足の測定についての名著「中小企業のためのISO9001:ISO/TC176よりの助言」(2000年版向け・和訳なし)の助言
ISO9001:2000では、顧客満足の測定を8.2.1項で要求している。
この本では、それに対応して、顧客がどう思っているかを測定する方法例を次のようにいくつかあげている。

●定期的か、製品の出荷やサービス提供後の電話による問い合わせ
●アンケートや正式調査
●他の方法による顧客との接触
●顧客と接触のある社内の人間に対する内部での問い合わせ
●振込み状況、保証期間中の苦情など、他の方法
 
そして、これらの方法には、それぞれ長所短所があるとしている。時には、顧客担当でなく、上層部の意見を聞くことも必要であるとしている。
アンケートや正式調査による方法は、時間がかかるし、コストもかかるので、もし、アンケートをとるなら、簡単にすべきであるとしている。

2.M社の対応
M社は、50人くらいの小企業である。親企業の外注である。だから、顧客満足の測定と言っても顧客は1社しかない。
ISO9001:2000の序文の「組織における品質マネジメントシステムの設計及び実現は、変化するニーズ、固有の目標、提供する製品、用いられるプロセス、組織の規模及び構造によって影響を受ける。品質マネジメントシステムの均一化又は文書の画一化が、この規格の意図ではない。」に従い、上記のいろいろな方法のうち、M社の事情にあった「顧客と接触のある社内の人間に対する内部での問い合わせ」を選択した。
M社は品質マニュアル1冊しかなく、管理規定ゼロである。
8.2.1は、”文書化した手順“要求はない。しかし、品質マニュアルには、8.2.1は、次のように数行の手順を簡潔に記述している。

8.2.1 顧客満足
品質マネジメントシステムの成果を含む実施状況の測定の一つとして,顧客要求事項を満足しているかどうかに関して顧客がどのように受けとめているかについての情報を監視するため、この情報の入手は、このマニュアルの「7.2.3 顧客とのコミュニケーション」に準じて行う。入手した情報は、合同朝礼の課題として使用される(このマニュアルの「5.5.1 責任及び権限」参照)。

顧客のコミュニケーションの手順は、また、次のように簡単に明記してある。

7.2.3 顧客とのコミュニケーション
社長、工場長、管理責任者、営業課長と担当、生産管理課長と担当、技術品証課長と担当は、顧客の受注、引合い、注文、又はそれら変更の際、訪問、注文書受領、連絡書の交換、電話、イーメールなどで顧客担当とコミュニケーションを持つ(この項の7.2.1及び7.2.2参照)。
また、顧客より不適合品のフィードバックがあるときは、このマニュアルの「8.3 不適合製品の管理」によって顧客とのコミュニケーションを図る。

この2項とも”文書化した手順“要求のない個所なので、簡単である。

合同朝礼は、月1回工場長が主催する(これはM社の品質マニュアルの「5.5.1 責任及び権限」に明記してある)。中小企業だから、皆、日常、顔を合わせている。そして、適宜、顧客担当の言ったことは、工場長に集中する。そして、その都度、個別に迅速に対応している。これは中小企業のよいところである。三菱のように隠せない。しかし、中小企業の問題点は、システム化が遅れていることである。そこで、幹部も多忙であるので、定着している月1回の合同朝礼を利用し、ここで全体的な情報を工場長より流すシステムにしたのである。

3.M社の予備審査
M社の予備審査に来た審査員は、やや、テニオハ的であり、顧客満足の簡潔な記述については不満であったらしく、説明を求めた。
工場長は、「合同朝礼の前に、顧客と接触する者、10名に口頭で、先月、何か特に顧客からクレーム以外の不満や、逆にほめられたことはなかったかを改めて聞きます。それを合同朝礼で説明し、注意が必要なことは言います。」と審査員に答えた。
工場長は、「顧客は当社の品質には基本的に満足しているので、実際には、そういう情報はほとんどなく、それ以外によく要望してくるのは、コストダウンです。これはどの企業にも言っていることでしょう。むしろ、困るのは、過剰なムダな書類を要求する顧客の品証担当者です。一方でコストダウンを購買が要求しているのに、矛盾します。反論すると、顧客側は不満足です。品質マネジメント8原則の8番目に供給者との互恵関係があります。顧客は、外注にも満足度を聞くべきではないかと思います。」と説明を加えた。
審査員は、何も反論しなかった。