1.2つの常識
この問題を理解するには、次の2つのパラダイム(考えの常識的な基礎・教養)が必要である。
@どのシステムでも静的な構造の側面と動的なプロセスの側面があるという常識。
システムにはプロセスが不可欠である。品質マネジメントシステムもプロセスがある。したがって、「品質マネジメントシステムのプロセス」というときは、品質マネジメントシステムそのものを指す。システムの動的側面である。内部監査は品質マネジメントシステムの一要素である。内部監査のマネジメントシステムを動的側面でみると、監査の計画→監査の実行→監査の結果報告・フォロー→監査結果の記録というPDCAプロセスになっている。このプロセスは、“文書化した手順”が要求されている。すなわち、内部監査システムのプロセスは明確に文書化されている。
A監視及び測定は上を言い出したら際限がないという常識。
例えば、審査機関の審査プロセスの監視及び測定は認定機関(例えばJAB)がやるのか?では、その認定機関のプロセスの監視及び測定は、どこがやるのか?ISO本部か?そのISO本部の監視及び測定は誰がやるのか?際限がない。この常識がないと監視のまた監視、そのまた監視が必要であるという神学論争の原因になる。
ISO9001:2000は、そのつながりを最低線、内部監査で切っているのが、常識人としの理解である。
2.内部監査の特徴
内部監査システムはプロセスを持つ。そのプロセスの監視及び測定は内部監査が、マネジメントシステムの監査の一部として行う。内部監査は、品質マネジメントシステムの1要素であるからだ。
すなわち、内部監査プロセスの監視及び測定を行うのは内部監査そのものである。これが内部監査の「特徴」である。
3.H社の内部監査
H社では、内部監査で、当然、内部監査についてもマニュアル通りかの審査対象となっている。内部監査の責任者は、管理責任者であるので、管理責任者が監査員により過去に行った内部監査が手順書通りに行われたか監査される。定期的に監査を行っているか、その計画書はあるか、監査員から管理責任者に報告された書類は、確認され、一定期間保管しているか、を聞き、書類を提示してもらう。すなわち、これが内部監査プロセスの監視及び測定であり、内部監査の一部である。
4.M審査員の指摘
H社のこの方法について、B審査機関のM主任審査員は、予備審査で、不適合でないが、「マネジメントレビューのプロセスと内部監査のプロセスの監視及び測定」について、検討するように助言があった。これは、上記のようにおかしな助言である。常識がないと監視のまた監視、そのまた監視という神学論争になる。
マネジメントレビューにもインプットとアウトプット要求があるように、プロセスがあり、それが内部監査の審査対象となる。
社長に対して、定められた間隔で行っているか、マネジメントレビューをするときに、どのようなインプットを用意しているか、マネジメントレビューの内容に品質方針や品質目標が含まれているか、その結果、どのようなアウトプットが得られたか、など、内部監査員はマネジメントレビューのプロセスにそって監査する。すなわち、内部監査によって、すべてマネジメントレビューのプロセスの監視及び測定が行われているのである。
T審査員は、「8.2.3 プロセスの監視及び測定」にある「品質マネジメントシステムのプロセスの監視及び測定」のワナからまだ脱しておらず、神学論争タイプであるようだ(このホームページの2000年項目別分類「内部監査と品質マネジメントのプロセスの監視との違いは?:H14年2月1週号」及び「製品実現プロセスの監視及び測定と内部監査の重複関係:H16年1月2週号」参照)。
T審査員は、コメントにベンチマーキングを推奨するというようなことを書いていたが、これはISO9004:2000に書いてあることである。この規格は審査用に使えない。神学論争型審査では、このけじめを忘れやすい。
このため、経営レベルの「品質目標」と、製品実現計画や訓練での「品質目標」との混同もみられた(このホームページの2000年版項目別分類コーナー「6. 資源の運用」の「訓練の品質目標とは:H15年12月5週号」及び「7.1製品実現の計画」の「4用語の解説不十分による審査上の混乱:H15年1月5週号」参照)。
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