ISO9001とISO14001での記録の扱いの相違点の原因
(H16年8月3週号)

7月末に規格協会で、改訂中のISO14001の説明があった。最初、FDIS(最終草案)の説明を予定していたが、本部の何らかの遅れで、間に合わなかったとのこと。このまま、遅れると年内の正式な改訂規格の発行は、ぎりぎりとのこと。

説明を聞いているうちに、ふと気がついたのは、今回、ISO9001:2000とISO14001の整合が最優先解決課題となっているが、次の本質的な2点は解決不可能で終わるだろうということである。

1.「記録の管理」と「マネジメントレビュー」の節の規格内の位置の違い
ISO9001:2000では、記録の管理は、文書管理のすぐ後の4.2.4項目に来ているが、ISO14001では、文書管理は4.4.5であるが、記録の管理は4.5.3と両者は離れており、かつ、最後のほうに近い位置である。
すなわち、規格における両者の位置がまったく異なる。これは、両規格の作成者の間にある文書と記録の解釈の違いを明確に示している。

これはISO14001のほうが、PDCAサイクルの構成順序としては正しい。何故なら、記録は、計画し、実施してから発生するので、Doの後のCheckの段階で発生するからだ。
マネジメントレビューも、ISO14001では規格最後の項目であるが、ISO9001:2000では、マネジメントレビューは経営者責任の中の5.6項であり、規格の最初のほうにある。
しかし、マネジメントレビューは、Check、ACT段階の活動なので、これもISO14001の位置のほうがPDCAサイクルの構成順序としては、妥当である。
ISO9001:2000は、最初から「記録は文書の一種である」としたため、P段階の文書管理にCheck段階の記録管理を無理に押し込んだ。このため、PDCAの順序と矛盾した構成となり、忠実にPDCAの順序で構成したISO14001と整合がとれなくなっている。

2.「運用」に「管理」がついていること
ISO9001:2000では、Doにあたる部分は、「7.製品実現」ともろに、Doを示すタイトルがついている。しかし、ISO14001では、「4.4.6運用管理Operational control」と、「管理」がついており、「運用」単独のDoを示すタイトルではない。逆にISO9001:2000では「製品実現の管理」という管理がついたタイトルではない。Doの考えや扱いが本質的に異なる。

これはISO14001の規格のほうが、正しくPDCAモデルを適用しているといえる(このホームページの2000年版項目別分類コーナーの4.1システム一般要求事項項目の「PDCAモデルの誤用:品質マネジメントプロセスの誤用:H14年5月4週号」及び・8.2.2内部監査項目の「製品実現プロセスの監視及び測定と内部監査の重複関係:H16年1月2週号」 及び基礎知識コーナーの「ISO9011:2002とPDCA;H15年4月3週号」参照)。

ISO14001の改訂版は、ISO9001:2000にできるだけ合わせるという方針があるが、一番、基礎的な構成であるPDCAモデルの適用では、両規格は異なったままである。しかし、ISO14001の基本的なPDCA構成の正しい適用は守るべきである。したがって、むしろ、ISO9001:2000のほうがISO14001に合わせるべきであろう。