設計レビューは設計検証の前に必ず行なうこと?
(H16年10月1週号)

1.A社での不適合
A社は、ISO9001を10年前に取得した。最近、維持審査でB主任審査員に変わった。そうしたら、B審査員は「規格要求では、設計のレビューの次に設計検証するという順序になっているにも関わらず、最初の設計検証に先立つレビューが抜けている」と言い、軽微の不適合として指摘した。
管理責任者は、審査員に対し、「規格要求では “設計の適切な段階においてレビューをすること“とあり、そのような厳密な順序は要求していない。レビューの次に必ず、設計の検証あるという固定した順序の要求はない。」と反論した。そして、「10年たって、こういう基本的なことを審査員が変わっただけで不適合になるのはおかしいのではないか。」と異議を申し立てた。
しかし、審査員は前言を繰り返し、「規格はこの順序でやることを要求している。設計レビューとは何かを考えたら当然、設計検証が先に来ることはありえない。規格ではあまりにも当然なことなので、わざわざ設計レビューを先にやれと言っていないだけのことだ。」と強硬に主張した。管理責任者は、最後は引き下がらざるを得なくなった。

2.「適切な段階」の意味
名著「中小企業のためのISO9000:ISO/TC176からの助言」では、設計レビュー、設計検証、設計の妥当性確認の3者の関係について、次の図のような明快な解説を行なっている。

設計レビュー、設計検証及び設計の妥当性確認の関連

この図で、設計のレビューの線が4つの点線で示されているのは「適切な段階」という規格の意味を図で示したものである。
企業によっては、A、B、C、Dの4段階すべてある場合もあるし、妥当性確認段階だけのD段階だけの企業もあることもあろう。
また、「中小企業のためのISO9000:ISO/TC176からの助言」でも、説明しているように、同じ企業でも、全く新規品の設計の場合は4段階でも、改造型の設計の場合はD段階だけというように、レビューの段階が異なることもある。
また、型が決まった設計では、設計検証や妥当性確認がレビューを兼ねることもある。多様である。自動車でも、新車の場合(4段階)と、マイナーチェンジの場合(C段階のみ)とは、段階が異なる。だから「適切な段階」という表現をISO9001:2000はとっている。
したがって、このB審査員の画一的な解釈は、現場を知らないためか「適切な段階」の解釈に正当性を欠く。しかも、このような基本的なことを軽欠点にしている、設計のレビューが規格要求を満たしていないなら、重欠点である。審査員の基本的な力量を疑う不適合である。

3.審査機関の審査の公平性
設計のレビューのようなISO9001:2000規格の基本的な内容の審査結果が、審査員の交替で変わるのは、審査機関のマネジメントシステムの問題を露呈していることになる。

4.A社の問題点
A社は、実は、設計に入る前に製品企画会議を行い議事録も記録管理しており、設計の最初に設計仕様書(設計インプット)を作成し部門長が承認している。これは、A社は、A段階のレビューはないが、B段階のレビューはあることになる。しかし、設計のレビューに含めておらず、C段階のみを設計のレビューとしていた。これも上記の図から考えて問題である。
マニュアルに、上記の図を入れて、自社なりの段階を説明すれば、明快であったであろう。

私は、コンサル指導のとき、必ず、上記の図をマニュアルに入れ、明快に、その企業の「適切な段階」を明記している。