新潟地震と緊急対応計画
(H16年11月3週号)

1.新潟地震による部品供給の停止とその原因
新潟地震で、長岡の自動車部品会社N社がやられ、顧客の組立ラインがストップしたという。これを聞いた東海地方のある大手部品メーカーが、東海地震が近いということで、緊急事態の問題として、外注各社に、施設の緊急対応をしっかりやるようにと言ったという。

ところが、このN社で問題になったのは、工場でなかった。工場はなんとかすぐに再開できる体勢にあったが、問題は、従業員の多くが自宅をやられ、出勤できず、人がいないため、稼動できかったという。地震のような天災の場合は、予測不可能の問題が多く、このように外注に対する警告は意味がない。工場を耐震構造にしても、一企業が、社員の住宅や、通勤道路などまでは、手が回らないし、第一、震度を予想してそれに対応した施設にするので、それ以上の震度できたときは対応できない。神のみが知ることである。

2.安全管理と危機管理の違い
危機管理専門家は、安全管理と危機(リスク)管理を分けている。安全は、人が努力すれば避けられるか、予測して対応できる場合であり、危機管理は、自然災害などのような予測不可能な事態が発生した場合の管理である。

3.ISO/TS16949:2002の緊急対応計画
(1)QS9000での要求
ISO/TS16949:2002の前のQS9000では、「4.9.b.2項」に次のような緊急事態の対応計画作成要求がある。

「供給者(2000年版の組織のこと)は、自然災害や神の行為(act of God)を除いた緊急事態(例えば、ユーティリティの停止、労働力不足、主要設備故障)の場合に対応して、適切に製品の顧客への供給を守る緊急対応計画を立てること。」

なお、QS9000は、2006年末で効力を失い、ISO/TS16949に一本化される(このホームページの「審査/コンサル」コーナーの「自動車部品中小外注業者の今後迎える試練:H16年5月2週号」参照)。

(2)ISO/TS16949:2002での要求
ISO/TS16949:2002は、これを受けて「6.3.2項」に次のような緊急事態の対応計画作成要求がある。

「組織は、顧客要求事項を満たすために、例えば、ユーティリティの停止、労働力不足、主要設備故障及び市場回収のような事態に備えて、緊急事態対応計画を準備すること。」

上記のように、QS9000でもISO/TS16949:2002でも、自然災害や神の行為(act of God)を除いた緊急事態であることは明らかである。
長岡のN社の場合、労働力不足であるが、自然災害による労働不足であるから、緊急事態対応計画の対象外となろう。