「QC工程表」の画一化?
(H16年12月2週号)

従業員十数名の機械加工業であるT社は、自動車部品を作っている。T社を訪問したら、納入先のある大手自動車部品メーカーA社の外注先のマネジメントシステムのチェックリストを見せられた。それは、ISO9001:2000の項目順に並んでいた。

驚いたのは、このチェックリストに「7.1 製品実現の計画」の項目のチェックとして「『QC工程表』はあるか?」という質問があった。帳票名まできめつけている。
T社では「QC工程表」は現場で使いにくいので、以前から「工程管理票」というのと、「基本品質計画書」というのがある。現場には「工程管理票」が現物に添付されて、工程を流れていく。これでISO9001:2000を取得している。

ISO9001:2000では、序文で「品質マネジメントシステムの構造の均一化又は文書の画一化が、この規格の意図ではない。」と言っている。

また、「7.1 製品実現の計画」では、「この計画のアウトプットは、組織の計画の実行に適した様式であること。」とある。

このチェックシートを作ったA社には「QC工程表」はある。だから、品質保証部員は、世の中のすべての会社に「QC工程表」が存在すると思っているのであろう。しかし、ISO9001:2000では「7.1」の参考1にあるように「品質計画書」が基本用語であり、この用語はISO9000:2000の基本用語集の3.7.5に定義されている。「QC工程表」はこの用語集になく国際的には一般的でない。
このように「QC工程表」という1つの様式を押し付けるのは、ISO9001:2000の上記の趣旨の不適合になる。

さらに、困ったことに、公差や数字を書き込んだ「QC工程表」は手間がかかって使いにくいことである(このホームページの「2000年版項目別分類:7.1項」の「全品目にQC工程表は必要か?」「QC工程表は何故、現場で使われないか?:H13年4月3週号参照)。
実は、A社でも扱いに悩んでいるが、これがないとISO9001:2000が取得できないと勘違いして、仕方なくやっている。したがって、この自社でも扱いに悩んでいるシステムを外注に押し付けていることになる(このホームページの「基礎知識」コーナーの「ISO9001の負のダウン・スパイラル:H15年12月3週号」及び「審査/コンサル経験談」コーナーの「自動車部品中小外注業者の今後迎える試練:H16年5月2週号」参照)。
参照)。
これは、品質マネジメントの8原則の8番目の「供給者との互恵関係:組織及びその供給者は独立しており、両者の互恵関係は両者の価値創造能力を高める。」という趣旨にも反する。外注の便利さや、独創性をそぐものである。A社を審査するISO9001:2000の審査員は、この外注管理用のチェックシートに対し、改善勧告をすべきであろう。

この「7.1」の質問は「『QC工程表』はあるか?」でなく、「企業に適した製品実現の計画書(品質計画書など)はあるか?」が正しい。