1.大きな変更はないが、マニュアルの全面見直しは必要
改訂では、96年版より要求レベルをあげないという基本方針で、規格のあいまいさの
明確化やISO9001:2000との整合性が改訂の主目的であった。
しかし、明確化は、従来の規格の要求内容を限定することなので、変更になる場合がある。結論的にはマニュアルなどは、用語の変更など細かい表現を含め、全面的に見直す必要がある。その点、ISO9001:2000との統合マニュアルの場合、改訂は多少少なくなろう。
なお、96年版から2004年版への以降は、6ヶ月間の予定で、05年の5、6月までに移行が要求される。
2.Shall数は増加したか?
96年版では、Shall数52、a)、b)などのサブ要求項目を含めると72、これが今度の改訂で、Shall数60,サブ要求項目数は101と細かくなり、増加している。
3.改訂の主なポイント
(1)適用範囲
a)2つの環境側面の明確化
改訂前は「1.適用範囲」に「環境側面は、管理できかつ、影響が生じると思われる側面」とあったので、「管理できる側面」と「影響が生じると思われる側面」は同じだという解釈もあった。これが今回、「組織が特定した『管理できる側面』及び『影響を及ぼすことができる側面』」と両者は別のものという明確な表現になった(図1参照)。
例えば、自動車メーカーで有害なガスの排出を減らすように設計するのは「管理できる側面」であるが、買った顧客が無駄なアイドリングをして排気ガスを出すのは管理できないので「影響を及ぼすことができる側面」となる。
但し、この範囲は「組織が特定した」とあるように環境側面の範囲を明確にするかは、個別企業が環境影響に配慮した自主的な決定である。
b)文書化
96年版の「4.4.4 環境マネジメントシステム文書」がISO9001:2000との整合性のため、「4.4.4 文書類」となり、ここで適用範囲の記述の文書化要求が追加になった。
(2)環境方針の周知
「4.2 環境方針」のf)で周知対象者は、従業員以外に拡大した。
(3)環境側面の特定の文書化
「4.3.1環境側面」でこれを特定し、著しい環境側面を特定するまでの情報の文書化が追加された。多くの企業は環境マニュアルで文書化しているが、点検の必要はある。
(4)法的及びその他の要求事項と環境側面との関連付け
「4.3.2 法的及びその他の要求事項」のb)で環境側面への適用の決定を新しく要求しているので「4.3.1環境側面」の決定のときに関連付けることが必要である。
(5)環境プログラムの範囲の明確化
96年版の「4.3.4環境マネジメントプログラム」は、環境目的・環境目標よりも大きなマネジメント全体の実施計画を含むという拡大解釈も可能であった。
改訂では、「4.3.4環境マネジメントプログラム」は、独立した項目でなく、「4.3.3目的・目標及びプログラム」に吸収され、プログラムの範囲が、目的・目標の達成に限定されることが明確になった。
(6)訓練の範囲拡大
「4.4.2 力量、訓練及び自覚」では、「著しい環境影響を生ずる可能性のある作業を行う要員」に「組織のために実施する要員」が追加された。
(7)外部コミュニケーションの決定の文書化
a)外部とのコミュニケーションの文書(正確には記録)化と、b)外部コミュニケーションを実施するかの決定の文書化及び実施の2つになった。
(8)文書化
文書化を要求しているのは「4.2環境方針」、「4.3.3目的及び目標(実施計画)」、「1.適用範囲」、「4.3.1環境側面の情報(法の特定・適用)」、「4.4.1責任権限」、「4.4.3外部とのコミュニケーション」、「4.4.6運用管理」、「4.5.1監視及び測定」の情報とその他、組織が必要とする文書である。
“文書化した手順”は、「4.4.6運用管理」の1つだけになった。
(9)順守の評価と記録
96年版の「4.5.1 監視及び測定」が「4.5.1 監視及び測定」と「4.5.2 順守評価」に分離し、その順守の監視記録が追加された。
(10)是正処置及び予防処置の手順
是正処置と予防処置の手順が、原因を特定し、再発又は予防の処置をとり、その結果を記録し、かつ、とった処置の有効性のレビューをするというように、ISO9001:2000と基本的に一致した要求に改訂された。マニュアルの修正が必要であろう。
(11)監視及び測定の記録
「4.5.1監視及び測定」では、96年版の「パフォーマンス、関連の運用管理並びに組織の環境目的及び目標との適合を追跡するための情報を記録することを含む。」が「パフォーマンス、適用可能な運用管理並びに組織の環境目的及び目標との適合を監視するための情報の文書化を含む。」と変わった。しかし、これは明らかに記録である。文書と解釈すると、別な文書化が必要である。監視及び測定方法の手順の文書化とともに、PDCAサイクルからして「追跡する記録」も必要なので残すべきであろう。
(12)記録
「4.4.2訓練記録」、「4.5.1校正記録」、「4.5.2順守の記録」、「4.5.3是正処置・予防処置の記録」、「4.5.1監視の記録」となる。文書と記録の混同に要注意(このホームページの「ISO14001コーナー」の「ISO14001改訂版の文書と記録の混乱:H16年5月1週号」参照)。
(13)マネジメントレビューのインプットの詳細要求
下表のように、ISO9001:2000に整合させている。
項目 |
ISO9001:2000 |
ISO14001:2004 |
a) |
監査の結果 |
内部監査の結果、順守評価の結果 |
b) |
顧客からのフィードバック |
外部のコミュニケーション |
c) |
プロセスの実施状況及び製品の特性 |
組織の環境パフォーマンス |
d) |
予防処置及び是正処置の状況 |
目的・目標の達成程度 |
e) |
マネジメントレビューのフォローアップ |
予防処置及び是正処置の状況 |
f) |
QMSに影響を及ぼす可能性のある変更 |
マネジメントレビューのフォローアップ |
g) |
改善のための提案 |
改善のための提案 |
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