| 最近、設立したらしい日系の新しい審査機関Sからイーメールが来て、「不要で過大な文書化や業務増加を求めません。」「経営革新に効果の出る審査をします。」「審査は改善」というスローガンが掲載されていた。
これは、自己矛盾を起こしているスローガンである。ISO9001:2000の136のshallの要求にそって審査(適合性の審査)していれば、「不要で過大な文書化や業務増加」にならない。「経営革新に効果の出る審査」「審査は改善」といって、審査側が力むので、結果として「適合性の審査」を忘れ、「不要で過大な文書化や業務増加」になる。その辺の問題点を謙虚に知らない審査機関はこわい。改善が改悪になる。詐欺となる。
中小企業の「適合性審査」なら、一人の審査員の2日か、3日の審査で十分だ。しかし、「改善」や「経営革新」を叫ぶ「付加価値審査」となると、まず、現状調査だけで、最低、2、3日かかる。それから、改善案を考え、テストし、効果が出るまで、フォロー指導がいる。月単位の日数がかかる。費用がペイするはずがない。
郵政公社の改善にトヨタのスタッフが参加したが、まず、業務の調査のため、ストップ・ウォッチを使ったという。審査員でストップ・ウォッチを正確に手に持って計測できる者はいるのか(このホームページの「審査/コンサル経験談」コーナーの「付加価値審査に必要な力量:H16年8月2週号」参照)。
20年くらい前に、トヨタ生産方式がブームのとき、あるコンサルタント機関が、どんな企業でも「かんばんシステム」を6ヶ月で導入できるという「6ヶ月かんばん」というコンサルティングパケッジを売り出した。
私は、企業によって、6ヶ月かかるところもあるし、2年かかるところもある。それを個別企業ごとに診断するのが、コンサルタントであるから、これはいんちきなことは明らかであると言っていた。そうしたら、ある会社の重役から「うちも頼んだが、6ヶ月たっても定着しなかった。そうしたら、コンサルタントに、『お宅はレベルが低い』と言われて終わりになった。これは詐欺である。金を払う先に言ってほしかった。」と被害者的な弁を聞いた。
私は、その重役に「人は体質が違うのだから、万病の即効薬はない。企業も同じである。それを信じて、詐欺に引っかかった貴方も問題だ。」と忠告した。
詐欺の被害は大抵、被害者にも問題がある。
付加価値審査の弊害は、すでに専門誌でとりあげられている(「12月2週号外「アイソムズ」12月特集号・適合性の審査と付加価値審査」参照)。
このS審査機関はこういう専門的な情報を知っていないのであろうか。遅い対応である。
今後の審査市場開拓を後発の審査機関が狙うなら、「審査では改善はしない」「適合性の審査に徹する」という謙虚な審査スローガンを掲げることこそ効果的であり、企業側から信用されるはずなのに。
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