特定顧客の提出要求文書の扱い
(H17年2月1週号)

1.A社の場合
A社は部品メーカーである。特定顧客の検査記録提出要求があった。管理責任者は、マニュアルで外部文書の1つとして定義し、最初、「外部文書管理台帳」に明記する方法を考えた。ところが社長は「当社は多品種なので、営業担当がそれを管理するだけの事務的能力はない」と言った。
ISO9001:2000では別に、台帳をつけろとは要求していないので、管理責任者は、これらは顧客別にファイルしているので、その表紙に「外」と赤字で書き識別する方法にし、これをマニュアルに明記した。これで定着はよくなった。審査でも問題なかった。

2.B社の場合
B社も部品製造業でいくつかの顧客に部品を供給している。そのうち、ある顧客には、出荷検査記録をその顧客の品質保証部の指定した様式に書いて提出しなくてはならない。もちろん、どの顧客であろうと、B社は検査記録をB社なりにISO9001:2000の要求にそった統一した様式に記録をとり、そのシステムを自主的に決定している。だから、この検査記録はムダであった。
維持審査に来た審査員は、その提出記録の控えを見て、「これも品質に関する文書だから、管理すべきであり、提出ごとに台帳に記録し、保管期限をきめて管理すべきである」と指摘し、会社側と議論になった。
ところが、この書類を自社のISO9001:2000マネジメントシステムとして取り込むと、顧客の様式が自社のシステムに入り込む。当然、各顧客が書類の様式を変えたり、やり方を変えたりすると、B社のシステムまで影響を受け、マニュアル変更を起こす。すなわち、自主的に扱いを決定できない書類のため、自主的に決定できないマネジメントシステムとなる。
これは、自主性を重んずるISO9001:2000の趣旨に反する。
そこで、A社もB社と同じように、決定権がない文書は、外部文書の1つとしてマニュアルに定義し、「外部文書管理台帳」があるので、ここに下表のように「○○社に提出の出荷検査記録」と1行書き、品証部門にファイルしてあるので、台帳の保管部門の欄に「品質保証部」と明記するようにした。提出ごとではなく、保管部門と何時からの記録があるかを明記して、管理状態にあることを明記した。
すなわち、ここで要求されているのは、「管理」であって、「何時からの記録が」「誰の管理下にある」のかが明記されていれば十分である。提出ごとの記録は、控えのファイルを見れば、十分であるので無駄な転記である。

外部文書管理台帳
文書名
文書内容
提出年月
保管部門
確認
○○社検査成績表(控えコピー)
顧客提出出荷検査記録
04・1月〜
品質保証部門
品質保証部長印