計測器の始業点検チェックシート
(H17年2月2週号)

N社は有名な自動車部品メーカーであった。2工場あったが、1000名ほどのメイン工場が数年前に、まず、94年版 のISO9001を取得した。
機械加工業であったので、現場では数百のノギス・マイクロを使っていた。よく使うので、校正専門部隊がいて、6ヶ月ごとに現場から引き上げて、校正していた。要するに、倍のノギス・マイクロがあり、現場は交互に使っていた。有効期限は、色表示され、色と期限の対比表は現場に掲示されていた。

1.パソコンソフトの使用とりやめ
当時、有効期間の管理をパソコンでやるというソフトが10万円で売り出され、N社は購入して使っていた。
私が、試しに、現場を回って、有効期限をチェックすると、期限切れのものがみつかった。
原因は、簡単であった。校正はきちんとやっているのであるが、数が多いので校正実施年月日の入力ミスが稀に発生していた。その間違ったデータをもとにパソコンの中では、設定された有効期限を忠実に計算する。しかし、色表示は校正者がするので、中には、色表示の有効期限がパソコンのデータより、長いもの、短いものが発生した。当然、長いものは時期が来ても、パソコンからプリントされる校正必要リストからはもれる。専門部隊は見逃す。現場も期限が来ても専門部隊が引き上げに来ないので、放置している。モラル低下となってくる。

私は、このソフトの使用をやめるように助言した。そして、パソコンソフトはもっと簡単にして、初期入力だけ、きちんとして、後は、設定された定数である有効期間だけを計算し、校正時期をプリントした。校正したら、消しこみだけするようにし、校正年月日の入力をやめた。計算した校正時期と実際の校正が1週間くらい前後しても、予定通り終了とみなして問題ないからである。6ヶ月という校正間隔も、基準であり、余裕をもっている。
入力の手間がなくなり、かつ、校正ミスがゼロになるという結果になった。

2.チェックシートのとりやめ
ノギス・マイクロを扱う作業者は、始業時に、10項目ほどあるチェックシートにチェックマークをしていた。チェックシートは、計測器ごとに1ヶ月に1枚であったから、計測器を使う作業者は数百人いるので、かなりの枚数になっていた。しかし、そのチェック項目は、意味のないものが中心であった。
例えば、マイクロメーターだと、「ゼロあわせ」「スムーズな回転」など、きわめて当たり前のことが書いてあり、最後に有効期限の確認があった。半年の有効期限なのに、毎日、作業者はチェックマークをしなくてはならない。
「ゼロあわせ」など、何年もマイクロを使っているのに、一々、毎日、チェックマークをシートにつけないといけない。当然、作業者の中には、バカらしいから、後からまとめて書いていることがあった。モラル低下を起こす。これをまじめにやると、作業者は、ムダという生産性に関する常識的なセンスを失う。じわじわと現場力の低下となる。

N社では、数年前のISO9001の取得挑戦を機会に、このチェックシートをやめて、点検は校正のとき同時にやるとして認証を得た。