ISO14001で、環境目的・目標を設定するときに、考慮事項というのがある。
「4.3.3 目的・目標及び実施計画」では、次のように、目的・目標設定及びレビューのときの考慮事項を述べている。
「法的要求事項及び組織が同意するその他の要求事項並びに著しい環境側面を考慮に入れること。また、技術上、財務上、運用上及び事業上の要求事項、並びに利害関係者の見解も考慮すること」
とある。この考慮すべき事項を単純に羅列すると下表のように7つの考慮事項となる。環境目的・目標の検討のために下表を作成し使えという審査員がいる。不適合にして押し付ける審査員もいる。
もちろん、こういう表を文書化せよというshallはない。審査員の勝手な「文書の画一化」である。
No. |
環境側面(例)
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騒音 |
廃棄物 |
汚水 |
| 考慮項目 |
1 |
法的及びその他の要求事項 |
○ |
○ |
○ |
2 |
著しい環境側面 |
○ |
○ |
○ |
3 |
技術上の選択肢 |
○ |
○ |
○ |
4 |
財務上の要求事項 |
○ |
○ |
○ |
| 5 |
運用上の要求事項 |
○ |
○ |
○ |
6 |
事業上の要求事項 |
○ |
○ |
○ |
7 |
利害関係者の見解 |
○ |
○ |
○ |
中には、「このような表がないと、目的・目標設定のプロセスが7つの考慮事項を配慮した証拠(エビデンス)がない。」と言う審査員もいるという。
しかし、これはナンセンスで、エビデンスになるような内容でない。実に形式主義的な表である。何故なら、上記のように「考慮した」というだけで全部○になるからだ。
この表があると、審査がやりやすいというのは、中身に関心がなく、形式だけを問題にするナンセンスで怠慢な理由である。
さらに、おかしいのは、2の「著しい環境側面」と1の「法的及びその他の要求事項」及び7の「利害関係者の見解」が並列的な関係にないことだ。
理由は、付属書Aでは、著しい環境側面を決定するには、法的課題及び内外の利害関係者の関心事を考慮することが望ましいとしているからである。
すなわち、著しい環境側面の決定に1の「法的及びその他の要求事項」及び7の「利害関係者の見解」への考慮が推奨されているから、並列的な関係にない。
また、付属書Aでは、環境マネジメントシステムの計画及び実施にどのように利用するかを考慮することも述べている。これは、上の表の5の運用上、6の事業上の考慮にあたる。
ISO14004:2004の「4.3.1.5」の「著しい環境側面の決定」にその決定の考慮事項として、「環境基準」「適用可能な法的要求事項」「内部及び外部利害関係者の関心事」と3つあげている。
騒音に例をとっても、技術的に防止が可能で、かつ、その技術的な方法が高価でなく、財務上対応できるなら、著しい環境側面とはならないであろう。
また、廃棄しているものが、リサイクルが可能なら、著しい環境側面としなくてもよいと判断できるが、リサイクル技術の選択肢がからむ。技術的に可能でも財務上の問題もからむ。
このように、これらの考慮事項は、相互に関係しており、単純ではない。
それを、ただ、条文にある単語を機械的に並べた表を要求する審査員は、その内容を深く理解していないことを白状しているようなものである。レベルの低い作文主義、形式主義を恥ずかしくもなく、露呈していることになる。その力量がすぐに判定できるケースである。 |