| 記者: |
安全管理部長に質問します。JR西日本の全線区は、新幹線を除くと4.388kmと公表されていますが、今回事故を起こした宝塚線区は、何kmですか。 |
| 部長: |
○○kmです。 |
| 記者: |
その線路に、カーブ(危険源)は全部でいくつあるのですか。 |
| 部長: |
お配りした同線区の「リスク評価表」にあるように○○箇所あります。 |
| 記者: |
今回、事故のあったカーブ番号及び名称はなんですか。 |
| 部長: |
カーブ番号は○○番、名称は○○地区カーブです。 |
| 記者: |
この○○番カーブの脱線で予想される事故(危害)の大きさはどのレベルですか。 |
| 部長: |
脱線スピードが100km以上で、乗客数がラッシュアワー時の数であると、線路脇のマンションに激突する恐れがあるので、死亡者がかなり予想されます。したがって、「リスク評価表」にあるように最高ランクの事故レベル10となります。 |
| 記者: |
その対策(予防処置:リスク管理)はどうなっていますか。 |
| 部長: |
外側は脱線の原因となる遠心力がかかるので国の基準に基づき内側より高くしてあり、緩和曲線があり、時速70kmに減速することで、脱線に対応できます。
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| 記者: |
70kmの根拠はなんですか。 |
| 部長: |
乗客が1車両数十人以上で、かつ、新型のボルタレス軽量車両だと、重心が高くなりますので、時速100kmを越えると脱線の可能性があると推定されるからです。過去の国鉄時代の事故データもあります。それ以下であれば問題ないと考えています。 |
| 記者: |
ガードレールはつけなかったのですか。 |
| 部長: |
国土交通省の基準で、半径250m以下のきついカーブにのみつけていますが、この事故のあった○○番カーブは、半径300mなのでガードレールはつけていません。 |
| 記者: |
国土交通省の基準はあくまで最低基準ではないですか。 |
| 部長: |
やたらにガードレールを設置することは、費用が高くつきます。運転手の70kmの減速順守で対策は十分と思います。 |
| 記者: |
運転手による時速70kmの減速順守は、ヒューマンエラーが予想されるので、事故レベルが最高なカーブの対策としては不十分ではないですか。 |
| 部長: |
確かに、ヒューマンエラーに対しては、弱いです。 |
| 記者: |
2003年に宝塚線はダイヤ改定で、1分短縮となり、このカーブ直前の直線部分で運転手に1分短縮のスピード増加を求めています。そうすると、このカーブに入る直前のスピードは、120kmとなり、70kmの減速順守には、一挙に50kmの減速が必要になります。これでは、従来に比較してより減速が難しくなり、リスクは高く評価しなくてはなりません。カミカゼ運転的な熟練が要求されます。しかし、JR西日本は、年齢構成上、極端に熟練運転者が減少しています。熟練に頼らず、ATS化などの早期の機械化、車両整備の強化などがリスク管理上必要と思います。
このリスク再評価を2003年のダイヤ改正とともにしたのですか。この改定ダイヤの最終承認者(意思決定者)は誰ですか。 |
| 部長: |
再評価による「リスク評価表」の見直しは、行いましたが、運転手の注意力に頼るという対応策は変更していません。なお、ダイヤ承認者は○○長です。 |
| 記者: |
カーブは全部で○○個ということでしたが、このように一挙に50kmの減速が必要な箇所は、今、何個あるのですか。 |
| 部長: |
お配りした「リスク評価表」は改訂されており、これによれば○○個です。 |
| 記者: |
2003年のダイヤ改正前にそれらのカーブに新型ATSを前倒しで設置することはできなかったのですか。 |
| 部長: |
予算の制約があり、○千万円の追加が必要でした。 |
| 記者: |
スピードアップすると、車両の劣化、ブレーキ故障の進行が早くなると予想されます。安全確保のため予防メンテナンスコストの予算追加をしたのですか。 |
| 部長: |
追加していません。 |
| 記者: |
予算の最終承認者(意思決定者)は誰ですか。 |
| 部長: |
○長です。 |
| 記者: |
同じATS機能でもっと費用の安い安全装置の技術的な選択肢がないのですか。 |
| 部長: |
ないと思います。特に検討していません。 |
| 記者: |
他に安価な選択肢があると言う専門家もいます。つめが甘いように思います。 減速を人の判断にのみ頼る場合のヒューマンエラー防止強化策は何ですか。 |
| 部長: |
運転者本人の注意力、心構え、熟練の強化です。ルール違反の場合は、「日勤教育」(このホームページの「日勤教育:H17年5月1週号」参照)です。賃金カットを伴う懲罰です。プレッシャーです。秒単位までの実績評価とその責任追及です。これで、2003年以降、脱線事故なしで達成しています。 |
| 記者: |
それは、事故すれすれの運転で、107人の死者を賭けての残酷な計画的殺人ゲームではないですか。JR西日本の文書化した社長安全方針はないのですか。
今回の事故で、○億円程度の膨大な経営損失が予想されます。ダイヤ改定のとき、ATSの前倒し設置やメンテナンス強化をしたほうが安くついたようです。
結局、「安全軽視は高くつく」という安全管理の教訓が実証されたようです。
ご回答から地震対応のような危機管理の問題ではなく、基礎的な安全管理のマネジメントサイドの怠慢による「想定内」の確信犯的な事故だと感じました。運転手はその被害者の一人です。警察がマネジメント面の刑事問題も視野に入れて調査しているようですが、これでは、無理もありません。
なお、緊急事態の対応管理はどうなっていますか。 |
| 部長: |
緊急事態の場合、マニュアルにより、まず指令室に車掌など発見者が連絡し、そこから走行中の関連車両の運転停止を指示し、同時に安全管理本部、消防、警察などに連絡します。その連絡で安全管理本部担当が、現場に直行し、事故レベルを正確に確認します。今回のような大事故となることが予想される場合、発生後遅くとも10分以内に現地に○長指揮下の対策本部を設置し、情報収集、救助活動の支援を含め対応します。なお、宝塚線のような危険度の高い線区は、安全推進本部が計画し、6ヶ月に1回模擬演習を実施させています。 |
| 記者: |
最後に、今回、JR西日本の安全管理と過去の安全についてのマネジメント側の意思決定で、改善すべきこととして学んだことは「具体的」になんですか。
「すみません。」と徹底的に謝罪することに熟練しただけですか。 |
| 部長: |
――――― |
日産のゴーン社長が言う。「日本にないのはマネジメントだけだ。」
しかし、マネジメントが書類の山を意味する企業もある。それは形だけのマネジメントで、必ず、しっぺ返しを食う(このホームページの2000年版項目別分類コーナーの4.2文書化の「客船火災の真因と是正処置:H15年11月2週号」参照)。
鉄道の安全確保は顧客満足の品質であり、乗務員の安全確保、関係住民への環境確保でもある。上記の想定問答は、「統合マネジメントシステム」(このホームページの「統合マネジメントシステム」コーナー参照)の視点から行っている。 |