ISO14001:2004審査で審査員交替
(H17年7月1週号)

M社はB審査機関のISO14001:2004のステージ1の審査を受け、次に最終審査の段階となった。ステージ1の審査に来たS審査員は下記のような指摘をした。あまりにも常識はずれの指摘なので、クレーム書とともに審査員の交替を要請し、即日、交替となった。

従来、B機関の審査では、オープニングにおいて、審査員から不適合と観察事項の違いの説明があったが、今回、その説明がなく、最初から、S審査員の思いつきの個人的な規格での審査を行っている状況となり、まさにコンサルティングの場となった。

さらに、問題となったのは指摘内容のレベルの低さであった。
すなわち、環境側面を特定するためインプット、アウトプット分析表を見てこれらも環境側面であること、M社に配達する宅配便業者も「組織のために働く人」であるから環境方針を周知すべきであること、廃棄業者の不正防止のため審査員の代行で当社が処理場まで行き確認写真にとるべきであることなど、審査員資格(力量)を疑うレベルの指摘ばかりであった。これらの指摘は、むしろ、審査員の力量以前の問題で、一人のビジネスマンとしての常識も欠如しているとしか考えられなかった。
S審査員は、元は大手企業の品証部門の長であったという。

クレーム一覧表
番号
規格条項
審査員指摘内容
グレード
当社対応
理由
1
4.2 f) 規格では「組織で働く又は組織のために働くすべての人に周知される」と規定しているが外注・宅配業者も貴社のために働いている。そこまで周知がされていない。 観察事項? 修正不要 ここでいう組織は当社のことであるから、宅配業者は例えば、ヤマト運輸のために働いている。だから、これに該当しない。なお、当社では、全社員として、社長、役員、正社員、パート、派遣社員も含めている。社内外注はない。
2
4.2 環境方針の文章にa) b) c)は含まれているがd) e) f) g)が明記されていない。品質方針をd) e) f) g)を含めるように変更すべきである。 観察事項? 修正不要 方針とはポリシーであり、理念である。そのポリシーの実務的な運用手続きを要求しているd) e) f) g)とは明確にレベルが異なる。当社は明確に区分している(このホームページの2000年版項目別分類コーナーの5.の「品質方針に関する要求の解釈:H17年2月4週号」及び「掲示された品質方針の内容:H15年4月4週号」参照)。
3
4.3.1  環境フロー図で、環境側面を特定するためにインプット・アウトプット表を用いているが、このインプット及びアウトプットは環境側面である。インプットも供給する業者のプロセスに環境側面があるからである。なお、環境側面欄は備考欄に変更すべきである。 観察事項? 修正不要 当社では、例としてインプットに大手鉄鋼会社からの鋼材がある。その鉄鋼会社の溶鉱炉などの活動で廃棄物などが発生するのも当社の環境側面であるという指摘である。環境側面の「組織の活動と製品又はサービスの要素」という定義を審査員は理解していない。「組織」とは当社であり、例えば、新日鉄は含まれないから、溶鉱炉の環境側面などは当社の環境側面として特定していない。なお、インプット、アウトプット分析は付属書A 3.1にあるように、効率よく環境側面を特定するための考慮項目であり、環境側面そのものではない。
4
4.3.3 環境目的・目標の設定プロセスが、規格の要求している考慮事項を考慮しているかどうか「見えない」。     プロセスの文書化要求はない。当社では考慮して目的・目標を設定している(このホームページのISO14001規格コーナーの「環境目的・目標を設定するときの考慮事項:H17年3月5週号」参考)。
5
4.5.2 法令遵守の確認は内部監査のみでは適切ではない。また規格のガイダンス(付属書A)ではこれは通らない。 観察事項? 修正不要 付属書Aはあくまで参考で審査用ではない。Shouldのみである。法令遵守の確認は内部監査のみでは適切ではないというshallはない。
6
4.4.7 社員不在時の緊急事態で消防署などに一般者から直接、連絡がいった場合、消防署から貴社の内部の誰に連絡するかを文書化し、届けるべきである。 観察事項? 修正不要 念のため、消防署に問い合わせたら、届け出しの必要はないということであった。当然である。なお、緊急事態対応は、“文書化された手順”要求がshallにない。
7
4.4.7 緊急事態発生後のレビュー及び可能な場合の定期テストを緊急事態対応基準書に明記されていない。 観察事項? 修正不要 緊急事態対応手順は、“文書化された手順”要求がshallにないが、当社では一応、緊急時の連絡網を文書化している。連絡網が変われば、当然改訂される。テストは、実施不可能であるので行っていない。
8
4.4.6  トリクロロエチレンの使用量等の点検手順書を作成すべきである。 観察事項? 修正不要 トリクロロエチレンの使用は、少量なので、環境側面として特定しているが、著しい環境側面として決定していない。
9
4.4.6  審査員として産廃処理業者が不正投棄をしていないかを審査すべきであるが、日程上、不可能なので、貴社が代行して産廃処分場に赴き、現場で確認し、適切に処理されているかの写真を証拠として撮ること。 観察事項? 証拠写真は撮らない。 貴審査機関の審査員は、いつから法令順守の取締官になったのであろうか。もし、不法投棄の取締りが不十分な場合、貴審査機関は怠慢として行政上の責任を問われるのであろうか。パフォーマンス審査とマネジメントシステム審査の基礎的な違いの理解不足が露呈している指摘である。